「巨大隕石衝突」で人類が滅亡しないためのシナリオ

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地下壕は、衝突による爆風や火災、その後到来する衝突の冬などから人類を守ってくれるだろう。

大規模な地下壕の建設場所としては、厚く安定した大陸地殻であるクラトンや、海洋深部が考えられる。地下壕には、衝突後1年間を生き延びるために必要な食料や医薬品、燃料、飲料水などを貯蔵することもできる。また、遠く離れた北極圏にあり、構造的に安定したスヴァールバル諸島に建設された世界種子貯蔵庫のように、遺伝子資源の保存にも利用することができる。

コンピュータ・シミュレーションによると、衝突のエネルギーによって300℃の熱を持つ衝撃波が発生し、全大陸の広い面積で火災が発生するという。火災による煙は、塵や水蒸気とともに上層大気に厚い雲を形成し、地表に届く太陽光が大幅に減少する。その結果、気温が数十年間下がり続け、植物の生育期が短くなる衝突の冬が到来し、飢饉が地球規模で蔓延するだろう。

しかし、人類は過去に同じような状況を乗り切っていた。約7万4000年前にインドネシアで発生した巨大な火山噴火によって、地球規模で壊滅的な気候変動が生じたが、初期の人類はアフリカやインドなどの地域で生き延びた。

3つ目のシナリオとしては、ネットフリックスの人気映画「ドント・ルック・アップ」で描かれたように、手遅れになるまで問題が無視され続けることも想定できる。LubinとCohenは、防衛戦略の技術的な側面しか分析していないが、時間内にミッションを遂行するためには、政治的課題をクリアする必要がある。核兵器を設計・開発し、宇宙に送り込むには、多くの国の政府や機関が協力し合わなければならない。

LubinとCohenは論文の中で、「人類の存続を脅かす脅威が現実化した場合、感情よりも理論が優先されることを期待したい」と述べている。

編集=上田裕資

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