「人前で話すのが怖い」 試すべき5つの方法

LightField Studios / Shutterstock.com

人前で話すことを怖がる「スピーチ恐怖症(グロッソフォビア)」は、人口の約25%が悩まされているとも言われる、ありふれた対人恐怖症の一種である。この恐怖症の人は、少人数もしくは大人数の集団の前で話すときに、軽度から身体を衰弱させる程度の不安をおぼえる。

残念ながら、スピーチ恐怖症をすぐに治せる方法はない。けれど、それを改善する方法ならいくつかある。ここではそれを5つ紹介しよう。

1 準備を入念にする


話す内容を徹底的に理解し、聞かれそうな質問にはすべて答えられるようにしておく。よく準備し、頭に入っていることが多いほど、不安を感じることは少なくなる。本番で自信をもって話せるように、鏡の前でリハーサルしたり、動画撮影や音声録音を活用したりするのもよいだろう。

2 薬物療法をさぐる


人前で話す際に悪い方向にはたらき、メタ不安(不安に対する不安)を生じさせるような不快な身体症状(神経過敏、多量の発汗、赤面、声の震えなど)に悩まされている場合は、「戦うか逃げるか」反応の活性化を防ぐのに役だつβ遮断薬(ベータブロッカー)を試してみるのも一案だ。ただ、こうした薬を服用する場合には、必ず医学の専門家や医療機関に相談すること。

3 人前で話すのを習慣化する


スピーチ恐怖症の人はぞっとするかもしれないけれど、人前で話す経験を積むほど、落ち着いて、自信をもって話せるようになるものだ。恐れや不安をいだいている対象に患者を直面させる「暴露療法」は、恐怖を克服する方法としてよく知られていて、実際に効果もある。バーチャルリアリティ(VR)を用いた暴露療法を試してみるのもよいだろう。話し方などについて学べるトーストマスターズの地元クラブに参加したり、家族や友人といった身近な人の前で練習したり、あるいは話の出来があまり問題とならない小さなイベントで、申し出て話をさせてもらったりするのもよいかもしれない。

4 マインドフルネスを日々実践する


神経がしっかり働く状態を整えるため、マインドフルネスや短時間の瞑想を毎日行うようにする。「Calm」のようなアプリや、「ポジティブ・インテリジェンス」といったプログラムを利用するのもいいだろう。マインドフルネスはその場限りの対処法として人前で話す前だけにやるのではなく、日課に取り入れ、スピーチやプレゼンテーションの当日には普段以上に多くやる、というふうにするのがよいだろう。

5 恥ずかしさと向き合う


人前で話すのが怖いということ自体をネタにして笑いをとる、という恐怖克服法も一考に値する。(2019年に開かれたある会議ではこんな一幕があった。基調講演者の女性が冒頭、緊張していると明かしたうえで、緊張しているときには「自分はいまワクワクしている」と脳をだますようにする、という研究論文を読んだことがあると紹介した。そうして彼女が「わたしはワクワクしている」「わたしはワクワクしている」と数回唱えたところ、会場は爆笑の渦に包まれた。)弱いところを見せれば信頼感が高まり、聴衆とのつながりが強くなる。

恐れから逃げてばかりいると、それを克服する機会はけっして得られない。人前で話す妨げになっている壁をみずから打ち壊し、新しい可能性の世界に自分を開いていこう。

編集=江戸伸禎

ForbesBrandVoice

人気記事