これらのブランドの人気が高いのは、それぞれが受け継ぐ伝統のためでもある。だが、長引く新型コロナウイルスのパンデミックも影響しているとデイビスは指摘する。
「供給量が減少していることが、大きく影響しています。生産数が少ないこと、特別注文もあること、顧客一人あたりの購入数が制限される場合もあることなどが、需要を押し上げています」
若年層の意識も要因
同社の顧客のうち、最も多くを占めるのは25〜34歳だ。だが、今年はZ世代の増加が特に目立ったという。18〜24歳の顧客からの注文は2021年、2018年と比べて5倍に増えている。さらに、デイビスによると、この若い世代の顧客は、売り手側としても増加している。
この世代は、持続可能性や循環型経済に対する意識が高い。また、購入に関しても、スマートな決断をするという。デイビスはZ世代について、次のように述べている。
「例えば持続可能性を重視するZ世代は、以前は車のシートベルトを再利用して作られた高額のバッグを買っていました。ですが、地球の将来を考えるその人たちが今、高額のシャネルのフラップバッグをリセールで購入するようになっています」
「いずれ自分がそのバッグに飽きてしまったら(実際にそうなります)、そのときには、購入したときに近い価格で売り、気に入った別の何かを買うことができると分かっているからです」
同社の成長を後押ししているのは、2020年8月に実現したシリーズBラウンドでの3850万ドル(約44億円)の調達でもある。翌2019年には、高級百貨店チェーンを運営するニーマン・マーカス・グループに株式の一部を売却した。
デイビスによると、同社は2022年春にはニューヨークのチェルシー地区に「真贋認証」を行う施設を新たに開設。東海岸での事業をさらに拡大する予定だ。