これは、過去およそ30年間において、すでに証明されていることだ。テクノロジーによって現実から切り離されること、実生活での社会的交流の減少、ネットいじめといった問題につながってきたことも、指摘されている。
さらに、メンタルヘルスの改善のために利用できるアプリやデジタルソリューションがいくら増えても、必要とする人が実際にそれらにアクセスできるとは限らないという問題もある。
実際に、メンタルヘルスの面でのサービスを最も必要としているのは、社会経済学的にも、実際の場所からみた場合でも(地方部など)、サービスが行き届いていないコミュニティーだ。これらは多くの場合、ブロードバンドや高速インターネットへのアクセスがないコミュニティーでもある。
米国のインターネットインフラは、他国と比べてはるかに大きな遅れを取っている。地方のコミュニティーにおいてデジタル・ヘルスケアへのアクセスを増やす上で、これは重大なボットルネックの1つになっている。
ただ、パンデミックの影響を受け、政策の専門家や政府関係者らは、この点における変革の必要性を理解し始めている。多くの人が在宅勤務をするようになり、働き方の改革が進む中で、議員たちの間でも注目度が高まっている。
世界を襲うメンタルヘルスの危機への対応において、検討すべき問題は数多くある。訓練を受けた専門家が不足するなか、特に重要なのは、ケアを必要とする人たちが、いかにサービスへのアクセスを確保するかということだ。
こうしたアクセスの改善において、イノベーションは有望な手段を提供するだろう。だが、現時点では、これからやるべきことの方がはるかに多いといえる。