ライフスタイル

2021.12.04 16:00

京の美意識と触れ合うホテル 「東山 四季花木」


茶の湯に学んだことを生かして


「おもてなし」という言葉が日本のサービスの代名詞のように世界へと伝わって久しいが、そもそもおもてなしの精神は「茶の湯」から始まったと言われている。すべての来客や接客を「一期一会」ととらえ、心のこもった待遇と最高の空間を提供する。それこそが、「おもてなし」の原型なのだ。




ウェルカムティーは日本最古の茶園「丸利 吉田銘茶園」の煎茶。アメニティやタオル、リネン類もすべて北山が選び抜いたもの

自身もお茶をたしなむ北山は、この「一期一会」にこだわった。8室であることもその表れだという。

「人の心を動かし、琴線に触れる。そのようなパーソナルな接客を目指しました。ここでは“スタッフ全員がコンシェルジュ“という心意気で働いています」

「東山 四季花木」には夕食を提供するレストランはない。近所には料亭や割烹、星付きレストランが多数あり、予約を代行してくれる。また、予約困難な割烹とコラボした特別宿泊コースや、著名なシェフを招いてコース料理を供する「茶養生」など、先行予約イベントなども開催している。

すべての部屋にはミニシンクが備え付けられているのは、「使ったコップやお皿を洗面所で洗いたくない」という女性の声に北山が応えたものだ。キッチンの備え付けられた部屋もあり、近所の商店で具材を買って鍋料理をつくった夫婦や、ステーキやハンバーグを焼いた強者もいるという。


機能美にあふれたキッチン。祇園辻利の宇治煎茶、マダムクリスティーの紅茶、Walden Woods Kyotoのドリップコーヒーなどこだわりが光る

すべてにおいて最上級を目指す


おもてなしの中でもうひとつ重要なのはベッドだろう。

「東山 四季花木」はシーリー社製のオリジナルダブルマットレスベッドを導入している。北山曰く「ベッド行脚」をして、ついに見つけた逸品だそうだ。ベッドリネンもすべて特注でつくった。


「遠州」のベッドルームと和室

支配人によれば「これまでホテルのベッドでよく眠れなかったお客様から、『このベッドは本当によく眠れた!』という感激のお声をたくさん頂戴しております」とのこと。確かに翌朝の目覚めといったら、この上ないものだった。


オーナー兼インテリアデザイナーの北山ますみ。華道や茶道をたしなみ、ホテル内の花も自身で生ける

北山が続ける。

「それぞれのお客様にとって京都にある個人の別荘のような形で、ご滞在だけでなく、結婚の申し込みや誕生祝いなど、人生の節目や記念日にあたるようなときにもお使いいただけたらと。飲食、芸術や工芸、寺社仏閣など、京の街の文化的な世界をお繋ぎする唯一無二のホテルとして、お客様の旅をより一層彩り深いものにしていけたら、私どもも光栄です」

ホテルにいながらにして京都を楽しむ。オーナー夫妻の想いとこだわりは、これからも多くの人を惹きつけるに違いない。

文=堀 香織 写真=yOU(河崎夕子)

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事