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朝日新聞外交専門記者

シャーマン米国務副長官(Photo By Tom Williams/CQ-Roll Call, Inc via Getty Images)

12月17日(現地時間)、ワシントンで日米韓次官級協議が行われた。協議後、3カ国による共同記者会見が開かれる予定だったが、現れたのはシャーマン米国務副長官だけだった。森健良外務事務次官と崔鍾建韓国外交部第1次官の姿はなかった。崔氏は直後、韓国記者団に対し、共同記者会見が中止になった理由について「日本側が、(金昌龍)警察庁長官の独島(竹島)訪問のため、記者会見に参加できないと事前に伝えてきたからだ」と語った。

複数の関係筋によれば、日本側は竹島問題で強く抗議する必要があると判断。米側に「共同記者会見を開けば、竹島の問題に質問が集中し、却って3カ国協力に支障が出る」という論法で、「会見不参加」を申し入れた。米側は当初、「そんなに深刻な問題なのか」と驚いたという。バイデン米政権は中国の脅威に対抗するため、日米韓協力を重視してきた。せっかく、三者協議を実現したのに、却って不仲を印象付けるような行動に納得できないという様子だったそうだ。日本側が、竹島の問題を巡る日本の世論や日韓関係などについて説明を重ねると、「そこまで言うなら仕方がない」と受け入れたという。

このやり方について、外務省の元高官に聞いてみた。「まず考えるのは、ホスト国のことだ。特にこの場合、同盟国の米国だ。自分だったら、会見に出る」と語った。「竹島について記者団から責められませんか」と聞くと、「もちろん、日本の主張は貫く。事前に与党と発言内容はすり合わせておく。ノーコメントなどありえない。日米韓協力も重要だと言えばいいだけの話だ」という返事だった。「日米韓の枠組みは地域にとっても日本にとっても重要だからだ。そっちの方が大人の対応だろう」

「ただ」と、この元幹部は続けた。「それを言っても、森(次官)は、きっと『これが現実なんです』と反論するだろう」と付け加えた。関係筋によれば、日本政府は米韓に対し、「日米韓次官級協議に出ないというやり方もあったが、それは選択しなかった」と説明した。日韓次官協議も開かれ、淡々とした議論が続いたという。精一杯、外交の機会は利用したということなのだろう。

文=牧野愛博

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