「インクルーシブ・キャピタリズムを実現するためには、ペイシェントマネー(忍耐強いお金)をいかに生み出すかが重要だ」そう語るのは同社代表の田口一成。
インクルーシブ・キャピタリズムとは「性別、年齢、有名無名や過去の実績、規模の大小など、社会にあふれる“枠”にとらわれず、よりインクルーシブになるほど、社会はより強く成長できるのではないか」という考え方。Forbes JAPANが“30歳未満の30人”を選出するアワード「30 UNDER 30」の今年のテーマでもある。
ペイシェントマネーは、社会起業家やスタートアップ業界をどう変えるのか。「30 UNDER 30」でアドバイザーを務めた田口に話を聞いた。
「忍耐強いお金」が起業家の挑戦を支える
近年は「インクルーシブ・キャピタリズム」という言葉が、徐々に聞かれるようになっていますが、投資における「リターン重視」の考え方は、まだ根強いように感じます。
僕は“忍耐強いお金”という意味で、「ペイシェントマネー」という言葉を使います。早急なリターンを求めるのではなく、社会をよりよくする活動が実るまで待てるような資金です。
現状は、短期的にリターンが期待できる事業にはお金が集まり、そうでないものには集まりにくい構造ができています。たとえ、社会問題の解決を目的とした事業だとしても、同じ判断がなされることが多いようです。
このような状況の中で、「インクルーシブ・キャピタリズム」を実現するためには、「ペイシェントマネー」をいかに生み出すかが重要といえます。起業家が持続可能なインパクトが出せる形で続けていくにあたって、最初の大変な時期に正面から挑んでいけるように、忍耐強く、待てるお金を提供するのです。
今はもう「大きく早く回そう」という時代ではありません。それが生んだひずみも分かっているので「ゆっくりと丁寧にまわしていく」という考え方が重要かなと思っています。