テクノロジー

2021.11.15 18:00

伊東せりか宇宙飛行士と考える地球の未来 人工衛星が守る私たちの暮らし

(c)小山宙哉/講談社


常間地:そのようですね。ISSと地上の通信を中継する衛星を増強していけば、通信速度は上がりますし、通信障害が起こることも減っていくでしょう。
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ただし、通信に使われている電波は拡散される特性があるので、広範囲に届けるには有益な通信方式なのですが、電波同士の干渉が起こってしまいますし、膨大なエネルギーを消費してしまうというデメリットがあります。さらに、地上のアンテナにも、コストがかかってしまいます。

そこで私たちワープスペースが目を付けたのが「光通信」です。光による通信は情報をピンポイントに届けるのに向いている上に、エネルギーの消費量が少ないというメリットがあります。つまり通信機を小型化できるので、開発や宇宙空間に打ち上げるのにかかるコストを抑えながら、高速通信を実現させられるというわけです。

せりか:宇宙空間で通信を自由に使えるようになるのは、いつ頃になるのでしょうか。
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常間地:私たちがどれだけ頑張るかにもかかっているところではありますが、2027年から2030年にかけて、安定的に通信が使えるようになっていくでしょう。最初は衛星など無人機向けに通信を提供していく想定ですが、将来的には宇宙ステーション向けにも提供していければと思っています。

せりか:ISSの実験設備は、少しずつ民間向けに開放され始めています。さらに、ISSや企業が独自に開発する宇宙ステーションに旅行客が訪れる構想も計画されています。それらと並行して、通信も安定していくわけですね。

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医療ロボット(c)小山宙哉/講談社

そうすれば、宇宙空間で万が一のことがあったとしても、地上から遠隔で宇宙に滞在する方を診断したり、さらにはロボットを使って手術を行ったりすることもできるようになるかもしれません。通信は、宇宙でできることの幅を広げるインフラだと言えそうですね。

せりか飛行士とワープスペースのメンバーによる対談企画第一弾は、暮らしや社会課題の解決、将来の宇宙開発で期待されている人工衛星の役割を紹介しました。次回のテーマは「宇宙開発の必要性」です。せりか飛行士たちの熱い議論をお楽しみに。

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