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共に、生きる──社会的養護の窓から見る

名古屋駅前で声かけをする。メンバーには高校生、大学生、社会人もいる

名古屋駅前、西口噴水広場。毎週土曜の夜、17時から20時まで、着ぐるみを着た若者のグループが街頭に立つ。

「こんばんは。全国こども福祉センターです! 中高生、大学生が中心となり活動しています」

そう声を出しながら、繁華街を往来する子どもや若者に手をふる。

時折、募金箱にお金を入れながら話しかけてくる人たちもいる。サラリーマン、カップル、高齢の男性、高校生などさまざまだ。取材の日も、活動に興味を持ってやってきた10代の女性や地方から来た高校生が、メンバーと話し込んでいた。

まずは仲良くなることから


NPO法人全国こども福祉センターは2012年に設立。既存の福祉の枠組みに馴染まない(けれど必要としている可能性は高い)子ども・若者たちの存在を真正面から捉え、活動している団体だ。

街頭での声かけは、専門用語としては“アウトリーチ”と呼ばれ、「こちらからつながりに行く支援」のひとつである。彼らのユニークなところは、それを専門的な支援者ではなく、10代や20代の若者自身が中心となって行う「支援を前提としないアウトリーチ」という点だ。

ここでは、「解決すべき課題」を頭上に掲げない。問題があるから支援するのではないし、もっと言えば「支援をする/される」の関係性もない。そもそも問題があるというレッテルを相手に貼ることを、意識的に避けているようにも見える。

代表の荒井和樹さんは、「まずは仲良くなることかな」という。着ぐるみを着て声かけをするのも、話しやすい雰囲気を作ってハードルを下げるためと、パトロールに見せないようにするためだ。

福祉の手が届かない子どもたちとつながるには



着ぐるみを着た団体は人混みでも目を引く。毎週の声かけで覚えてくれている人もいる

荒井さんがこの活動を始めるに至った背景には、既存の福祉制度に対する疑問や問題意識がある。

もともと児童養護施設の職員をしていた時に、福祉の手が届かない子どもや若者の存在に出会い、彼らの多くがSNSを活用して人とつながったり、それを生きる術にしていたり、水商売や性産業が効率的に介入していたり……という事実を知っていく。

当時の児童福祉は“保護”と“救済”が中心で、そこに“予防”のための積極的介入をしていく考えはなかったことも、荒井さんの心に引っ掛かりを残した。そうして勤めていた施設を辞め、団体を立ち上げた。

文=矢嶋桃子

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