しかしこの危機の中でも、大きな進歩の兆しが見えてきている。米議会は現在、育児や高齢者介護の支援を盛り込んだ法案を検討。かつては特権的なものだったリモートワークは、今では各社で優先導入されるようになった。保育サービスなどの利用が人材不足により難しくなっている一方で、賢い企業は人材誘致の手段として女性の昇進や支援に力を入れられるようになっている。
フォーブスは、調査会社スタティスタと共同で、社内外の女性支援に積極的に取り組む企業を特定。同誌初となる「世界で最も女性に友好的な企業」ランキングとしてまとめた。
ランキング作成に当たっては、世界40カ国の女性8万5000人を対象にアンケート調査を実施。賃金平等や育児休暇などの項目について自分が勤める企業を評価してもらったほか、自社のプラットフォームやマーケティングメッセージが男女平等の促進に使われているか、それともネガティブなステレオタイプを助長しているかについても意見を聞いた。また、幹部や役員の男女比も考慮した。
ランキングに入った300企業のうち、女性がトップの企業はわずか20社だった。そのうちの一つが、首位に立った米チョコレートメーカーのハーシーだ。同社では2017年、ミシェル・バックが127年の歴史で初となる女性最高経営責任者(CEO)に就任した。
同社では取締役の42%を女性が占める。2025年までには、女性従業員の割合を現在の48%から50%に、女性管理職を37%から42%に増やすことを目指している。2020年には、米国で男女間の賃金平等を達成。アリシア・ペトロス最高多様性責任者は、今後は世界での賃金格差解消に取り組みたいとしている。
米シリコンバレーに本社を置くズーム・ビデオ・コミュニケーションズは9位にランクインした。リン・オールダム最高人材担当責任者によると、同社は人材採用戦略の見直しに取り組み、採用ルートを多様化したほか、採用プロセスでのバイアスを減らし女性の採用を増やすために職務説明にインクルーシブ(包摂的)な表現を使い、面接プロセスを統一した。
「世界で最も女性に友好的な企業」ランキングに入った300社の全リストはフォーブス英語版サイトで公開されている。