「効果的なコミュニケーション」とは、話の聞き手と信頼関係を結び、こちらが意図するメッセージを受け取ってもらうことを意味する。これが適切に実行できれば、クライアントや同僚、パートナーと自分のあいだにある溝が埋まり、人との意思疎通や人間関係の強化、信頼の構築、さらにはキャリアにおける成功への道を開く上で役立つはずだ。
意識的に訓練することで、効果的なコミュニケーションの技能を高めることは可能だ。逆に言えばこれは、何もしないで上達する技能ではない。コミュニケーションのスキルを磨くための方法を5つ、以下に紹介しよう。
1. 意図を明確にする
明確さは、効果的なコミュニケーションの基礎をなす要素だ。話し手が明確さに欠けると、その意図するメッセージを推測させるという難しい作業を、聞き手に強いることになる。その結果、意図が誤って伝わったり、聞き手を困惑させたりする可能性が高くなる。しかも、聞き手を混乱させれば、信頼を失うことにもつながる。
この問題を解決するには、自身の意図を言葉ではっきりと表現し、なおかつ、本当に意図していることだけを述べるのが肝心だ。さまざまな事柄に触れたくなる気持ちを抑え、重要な1つのポイントに話題を絞ろう。こうした縛りを設けることで、伝えたいメッセージに狙いを定め、具体的に話すことが可能になる。また、聞き手側も話し手の意図を理解しやすくなり、信頼や信用が生まれるはずだ。
2. 要点を簡潔に
作家のマーク・トウェインはかつて、こんな名言を残した。「もし私にもっと時間があれば、もっと短い手紙を書いていたことでしょう」。これは、簡潔に要点を押さえることが、長々とした文章を書くよりもいかに難しいかを反語的に伝える言葉だ。
ダラダラと長いメールや、とりとめのないボイスメールは、コミュニケーションにおいては命取りだ。こちらが「思いつくままに考えを綴っている」つもりであっても、相手からは、まとまりがなく不明瞭なムダ話と受け止められるだろう。これでは、相手はすぐに興味を失い、コミュニケーションの機会も失われてしまう。メッセージを伝えたいなら、伝えたい内容を意識し、本題と無関係の事柄については排除し、要点をズバリと伝えることだ。
3. 聞き手の立場に立って話す
話し手の意図するメッセージを聞き手が受け取ってくれなければ、効果的なコミュニケーションとは言えない。ゆえに、「大事なのは自分ではない」ということを胸に刻んでおくべきだ。
私たちは、誰もが自分と同じように考え、行動し、意図を伝えるものだと思い込みがちだ。だが、これは大きな誤りだ。そうではなく、一歩引いて、自分の話を聞く側の立場になり、彼らの望みやニーズを考え、それに合わせてメッセージの伝え方を調整するべきだろう。
加えて、聞き手が好むコミュニケーションの手法についても配慮するべきだ。意思伝達の方法は十人十色であり、各人に好みのプラットフォームがある。ボイスメモを送るのが好きなクライアントがいる一方で、テキストメッセージの方が良いと考えている人もかなり多いだろう。また、なかには、確実なスケジュール管理のために、すべてのやりとりを秘書経由にしてほしい、という人もいる。この件に関して決めつけは禁物だ。相手に問い合わせて確認しておこう。