今年、各分野に精通した専門家や業界オーソリティ、過去受賞者で構成されるアドバイザリーボードと編集部で審査を行い、ソーシャルアントレプレナー部門の受賞者として選出されたのが、下山田志帆だ。
現役サッカー選手としてプレイする傍ら、Rebolt共同創業者でありLGBTQ当事者でもある下山田志帆。2021年には吸収型ボクサーパンツ「OPT」の企画・販売を開始した。
──起業家になると決めた理由は?
多くの女性アスリートが、すべてを競技に捧げながらも「自分には社会的な価値がないのでは」と悩んでいる。これは女子スポーツ界の大きな課題だと思っていました。私自身、子どものころからサッカーだけでは食べていけないと感じていたので、高校や大学は「社会で通用する人間になれそうなところ」を選びました。
でも、それはしょせんネームバリューに頼る生き方にすぎないとドイツで気づいた。自分の頭で課題解決の方法を考え、行動しながらキャリアを積み上げていくほうが格好いいし、それこそが本当の挑戦だと思ったのです。
──OPTに込めたメッセージは。
女性アスリートが抱える課題、女性の健康に対する意識、LGBTQ当事者であること。自分たちのなかにある問題意識を可視化できる商品がOPTでした。Reboltの事業を通じて実現したいのは、ジェンダーレスでもニューノーマルでもなくノーノーマル(no normal)な社会。普通や当たり前といった枠組みがない社会や生き方を広げたいです。
──自分を奮起させる原動力は?
つい最近までは怒りが原動力でしたが、いまはワクワクする気持ち。1年以内に会社の基盤を固めて、アスリートと起業家を両立していると胸を張って言いたい。中長期的には、Reboltが目指す生き方を体現している人たちを後押しできる仕組みをつくりたいです。
──10年前の自分にアドバイスをするなら?
「そのままでいい」。中学、高校時代は問題児扱いされることもありましたが、いい子を目指すのではなく、人として認められない悔しさを感じながらもがき続けたことが、いまに生きています。
──どうしてもやめられない「禁断の味」は。
アイドルグループが頑張って成長していく姿を見るのが好きなんです。
しもやまだ・しほ◎1994年、茨城県生まれ。プロサッカー選手。慶應義塾大卒。ドイツでプレイし2019年に帰国。スフィーダ世田谷FCで活動する傍ら、19年に内山穂南とReboltを共同創業。