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朝日新聞外交専門記者

米海軍のシーウルフ級攻撃型原子力潜水艦「コネティカット」(神奈川、2010年2月)(viper-zero / Shutterstock.com)

米海軍は7日、シーウルフ級攻撃型原子力潜水艦「コネティカット」が2日午後、「インド太平洋地域の公海上」を潜水した状態で航行中、何らかの物体に衝突したと発表した。米国メディアなどは、米政府関係者の発言を引用して、衝突した場所が南シナ海の国際海域だったとしている。米海軍協会(USNI)のニュースサイトによれば、コネティカットの乗組員11人が負傷した。コネティカットの原子炉などは正常に稼働しており、8日にグアムの米海軍基地に戻った。

いったい、コネティカットは何に衝突したのか。海上自衛隊の潜水艦はやしお艦長を務めた伊藤俊幸氏(元海将、現・金沢工業大学虎ノ門大学院教授)は、2005年1月にグアム南方海域で起きたロサンゼルス級攻撃型原潜「サンフランシスコ」の衝突事故が参考になると語る。サンフランシスコは当時、海図に載っていない海山に衝突。船体が大きく損傷し、乗組員1人が死亡した。

伊藤氏は「いくら世界中に展開する米海軍だからと言っても、本土やハワイ周辺ならいざ知らず、十分に把握しきれていない場所が今も存在しているはずだ」と語る。伊藤氏によれば、各国が独自に精査していない海域を航行する場合は、国際水路機関(IHO)などが関与した国際的な海図を使う。伊藤氏は艦長時代、特に水深が浅い海域にマークをつけ、避けるようにしながら航路を作成していたという。

海中では魚群にぶつかることもあった。ただ、魚群が接触しても、鯨のように特に巨大な物体ではない限り、潜水艦に大きなダメージは与えない。伊藤氏は「魚群を見つけても、大抵はそのまま進んだ」と振り返る。航海中に一度、小型の鯨と接触したが、わずかに船体が揺れた程度で、けが人も出なかったという。

伊藤氏は「コネティカットの事故では、数人が軽症を負っている。固定物と衝突した可能性が高いのではないか」と語る。ただ、USNIは、他の船舶(another vessel)との衝突ではないと報道。小型の海山か、水上艦艇の曳航物にぶつかった可能性がありそうだ。伊藤氏は「小型の海山に接触したのではないか」と語る。また、別の元自衛隊幹部によれば、海中は深度にかかわらず、微妙に水温が上下する層があり、ソナーが音源を探知しにくい「シャドー・ゾーン」と呼ばれる場所もある。

文=牧野愛博

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