メタバースには様々な定義があるが、「数百万人の人々のアバターがリアルタイムに交流する巨大な仮想空間」というものが、多くの人が思い浮かべる姿だろう。メタバースには独自の経済圏が構築され、実世界とリンクしており、誰でもいつでもアクセスすることが可能だ。
20年後には、人々はメタバースの中で出社したり、バーチャルなアリーナで数千人のファンと一緒にロックコンサートを観るようになるかもしれない。また、モール内にあるアマゾンの店舗でAR(拡張現実)グラスを装着し、バーチャル店舗に展示されている数百万点の商品の中から欲しいアイテムを選ぶようになるかもしれない。
大手テック企業の中には、「プロト・メタバース(Proto-Metaverse)」を構築するケースが増えている(プロト・メタバースは簡易的なメタバースを意味する用語で、セカンドライフのようにスキルシステムが無く、人々のアバターが仮想空間で交流を持つような仕組みを指す)。
例えば、フェイスブックは最近、バーチャルオフィスで同僚と交流したり、チームとコラボレーションをして同僚のスクリーンを閲覧できる「Horizon Workrooms」をリリースした。これは未来のコンセプトではなく、対応するVR(仮想現実)ヘッドセットさえあれば、今すぐにアクセスできる。
サイロ化の問題
エピックゲームズは、ゲームを使ってメタバース的なエンターテインメントを提供している。同社は、フォートナイトの中でアリアナ・グランデのコンサートを開催し、世界中で数千万人がバーチャルに参加した。
しかし、これらのプロト・メタバースはサイロ化しており、フェイスブックのHorizon Workroomsで仕事を終え、その足でフォートナイト内で開催されるアリアナ・グランデのコンサートに行くことはできない。メタバースを連動させるためには、インターネットのインフラのあり方を考え直す必要がある。