目的は?
海底ケーブル(Wonderfulengineering.com)
プロジェクトの狙いは、アジア太平洋地域のインターネット接続状況を改善することと、大半の企業が拠りどころとする世界規模のインターネットインフラを管理できるようにすることだ。
ケーブルの長さは約1万2000キロメートルに達する予定だ。日本、台湾、グアム、フィリピン、インドネシア、シンガポールのアジア6カ国・地域を結ぶことを想定している。柔軟性と分岐容量を備えた構造で、毎秒約190テラビットのデータ転送速度に対応できるという。
フェイスブックとグーグルは、既に数千キロメートル規模の海底通信ケーブルを共同で敷設しており、現在も同規模の海底ケーブルの敷設工事を進めている。
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また、フェイスブックは、シンガポールと北米を結ぶ2本の太平洋横断ケーブル「エコー(Echo)」や「ビフレスト(Bifrost)」など、別の海底ケーブル敷設プロジェクトにも着手する予定だ。これにより通信量は70%増加することが見込まれるという。これらのプロジェクトを集約すると、アジア地域で4Gおよび5Gのサービスが豊富に提供されることになる。エコーではグーグルと手を組み、ビフレストは他社との協業で完成を目指す。
パンデミックで急成長する「海底ケーブルプロジェクト」
最初に海底ケーブルの基礎が築かれたのは1850年のことだ。当時、送信していたものは電報で、アメリカやイギリスの政府の支援が必要だった。しかし、現在のケーブルの敷設事業は民間企業の独壇場となった。たとえば、グーグルには大規模な海底ケーブルのネットワークがあり、世界中に利用者がいるクラウドサービスの維持に役立っている。
海底通信ケーブル(Wonderfulengineering.com)
最近、フェイスブックはアフリカでのインターネット接続状況の改善を目的とする、別の海底ケーブルプロジェクトを発表した。新型コロナウイルスのパンデミック以降、このような海底ケーブルプロジェクトは急成長しており、その約8割を担っているのがフェイスブックやグーグルだ。
世界の通信量のおよそ98%は、海底通信ケーブルを経由している。さらに多くのビジネスがオンライン化するにつれて、より高速で、信頼性の高いインターネットへの需要が急増している。こうした需要を世界中で満たせるものとして、今後のプロジェクトに期待が寄せられている。
(この記事は、英国のテクノロジー特化メディア「Wonderfulengineering.com」から転載したものです)