テクノロジー

2021.09.21 07:30

広島の「下町ロケット」が農業でも大成功した理由


このモノづくりへのこだわりを貫く企業カルチャーはキャステムという会社の強みだなと感じたときに、農業事業への参入が私のなかでつながった。農業もある種のモノづくりだ。もっとよくするにはどうしたらよいかを探求し、創意工夫を続け、よいものになるために妥協なく情熱を注ぐ。それが高いレベルで当たり前になっている会社にとっては、そのカルチャー自体が武器になり、結果として美味しい野菜や果物を生み出すことができたのだと私は思う。

実際に、宮古島のパニパニファームでつくられたトマトを送っていただいたのだが、一般的なフルーツトマトの糖度を大きく上回るもので、その甘さと美味しさに驚いた。

企業経営をしているなかで、新規事業というものは必ず向き合うタイミングのあることがらだ。その新規事業を考えるうえで何に軸足を置くかというと、通常はいままでの事業資産を生かしたり、顧客を活かしたり、関連技術力を生かしたりということがほとんどだろう。

ただ、いま一度自社の強みのレベルに昇華したユニークなカルチャーに目を向けてみたときに、自分の会社が思いもよらない領域への挑戦権をもっていることに気づくかもしれない。あらためてそのことに気づかせてくれる福山出張となった。


なかやま・りょうたろう◎マクアケ代表取締役社長。サイバーエージェントを経て2013年にマクアケを創業し、アタラシイものや体験の応援購入サービス「Makuake」をリリース。19年12月東証マザーズに上場した。

文=中山亮太郎 イラストレーション=岡村亮太

この記事は 「Forbes JAPAN No.084 2021年8月号(2021/6/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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