9月13日に発表された合意事項によると、FOXコープはエンタメとセレブに特化したTMZのメディア「TMZ」と「TMZ LIVE」、スポーツ専門サイト「TMZ Sports」などに加え、ロサンゼルスでのセレブツアー事業を買収する。報道によると、買収額は5000万ドル(約55億円)以下という。
TMZは、イギリスの「サン」やオーストラリアの「デイリー・テレグラフ」、「ニューヨーク・ポスト」などの、マードックが所有するセレブリティに特化した資産に加わることになる。ポストの「ページ・シックス」欄は、長年にわたりTMZのライバルだったが、FOXコープは、2019年にページ・シックスTVを2シーズンで終了させていた。TMZは現在、主流メディアがセレブネタを報じる際の主要な情報源になっている。
ハリウッド・リポーターが指摘するように、マードック家の最も収益性の高いメディア資産であるFOXコープとTMZには多くの共通点がある。「両社は、ケーブルニュースやゴシップニュースの現状に反発するメディアとして、主流メディア企業の支援を受けながら、既存のサービスにはない視点を取り入れて立ち上げられた」と業界誌は述べている。
2005年にTMZを共同設立したマネージング・エディターのハービー・レヴィンは、引き続きその地位に留まるという。レヴィンは、プレスリリースの中で今回の契約がTMZのビジネスの成長に役立つと述べている。
FOXコープの会長兼CEOであるラクラン・マードックは、プレスリリースの中で、「ハービーがTMZで作り上げたユニークで強力なブランドは、エンターテインメント業界を変革した。彼らがFOX に加わることを歓迎する」と述べた。
FOXコープは、税引前利益の95%を占めるFOX ニュースへの依存度を下げるために、ここ最近、買収を繰り返しており、5月にはOutkick Mediaを買収していた。
ブロックチェーン関連にも投資
同社はまた、NFTを活用したプレミアムコンテンツの収益化を目指すブロックチェーン関連のスタートアップ「Eluvio」に出資し、自社のBlockchain Creative Labsに基盤技術を提供している。FOXの投資によって、EluvioのシリーズAラウンドは1億ドルの評価額で完了した。
ワーナーメディアの親会社のAT&T は、3年前にAOLタイムワーナーを1080億ドルで買収して参入したエンターテインメント事業から撤退し、通信事業にフォーカスしようとしている。
AT&Tは、今年に入りワーナーメディアとディスカバリーを合併し、HBO、CNN、ワーナーブラザーズなどの優良メディアブランドとディスカバリー社のケーブル事業を統合した別会社を設立すると発表した。AT&Tはまた、DirecTVとUverseの事業を分離して、Crunchyrollのアニメストリーミング部門を12億ドルで売却し、ヨーロッパとラテンアメリカの事業も売却した。また、2019年にはGame Show Networkの42%の持分をソニーに売却していた。