米国では競合が少ないデリバティブ市場
一方で、米国では規制対象となっているデリバティブ市場は競合が少ない。主要プレーヤーであるシカゴ・マーカンタイル取引所(CME)のビットコイン先物の建玉(未決済の約定)は16.3億ドルとなっている。CMEは、他にもイーサリアム先物やビットコインオプションを提供している。しかし、米国以外の市場はプレーヤーの数が多く、競争は格段に激しい。
FTX Internationalのデリバティブ取引高は世界3位の23億ドルだが、バイナンス(41.5億ドル)には遠く及ばないFTX.USは、競争がそれほど厳しくない米国において、取引高を拡大させたい考えだ。しかし、暗号資産デリバティブは現物価格の急下落を引き起こしたと批判を受けており、どのような顧客がトレーディングを行うかも問題となってくる。
Harrisonによると、FTX.USとLedgerXの顧客層は似ており、70%が機関投資家で30%が個人投資家だという。このことから、FTX.USのデリバティブサービスは、ヘッジファンドやプロップファームが主な顧客になることが予想される。しかし、LedgerXは個人投資家向けのプロダクトにも力を入れている。
Harrisonは、値動きの激しい仮想通貨市場にデリバティブ商品が必要かとの質問に対し、「仮想通貨に限らず、デリバティブは健全な市場を形成する上で、効率的で必要なツールだ」という考え方を示した。「売り手と買い手がある資産のエクスポージャーを持ちたいが、資産そのものを保有したくない場合、デリバティブ取引は非常に効率的な手段だ」とHarrisonは話した。
Harrisonはまた、顧客がゲーム感覚で取引を行わないよう注意していきたいと述べた。「顧客には、これがトレーディング用のプラットフォームであることを最初から啓蒙していきたい。顧客がゲームのように全てを賭けることを我々は望んでいない。人々には、責任感をもって安全に取引を行ってもらいたい」とHarrisonは語った。