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2021.08.13

トヨタ出資の空飛ぶタクシーJOBYが上場、5年後に売上20億ドル目標

ジョビーの創業者でCEOのジョーベン・ビバート / Getty Images

カリフォルニア州でeVTOL(電動垂直離着陸機)の開発を進める「ジョビー・アビエーション(Joby Aviation)」が、SPAC(特別買収目的会社)との合併手続きを完了させ、8月11日にティッカーシンボル「JOBY」でニューヨーク証券取引所で株式の取引を開始した。

ジョビーは、リンクトインの共同創業者であるリード・ホフマンとZyngaの創業者のマーク・ピンカスが運営するSPACの「RTP(Reinvent Technology Partners)」と合併した。

同社は、証券取引所の外に5人乗りの電動航空機のプロトタイプを、この日のためにカリフォルニア州からトラックで運んできて陳列した。ジョビーの創業者でCEOのジョーベン・ビバートは、今回の合併とそれに伴う機関投資家への第三者割当増資で、11億ドルの資金を入手した。

調達額は、SPAC銘柄への関心が冷え込む中でRTPの株主が、IPO価格の10ドルをやや上回る価格で、株式をキャッシュアウトしたため、当初の予定の16億ドルを下回ったが、それにも関わらず、ジョビーのCEOのビバートは十分な資金が確保できたと述べている。

カリフォルニア州サンタクルーズに本社を置くジョビーは、ヘリコプターのように離陸した後、6つのローターを前に倒して飛行する電動航空機で、2023年末までに連邦政府の承認を受け、米国初の電動エアタクシーを展開しようとしている。

同社は2024年から米国の複数の都市で、空中ライドシェアサービスを開始する計画だ。

会社を上場させたビバートは、ウォール街のアナリストの厳しい目にさらされることを覚悟していると話す。彼のプレッシャーを和らげる一つの要因は、投資家たちが全員、長期的スタンスで出資を行っていることだ。

同社の主要株主のトヨタ自動車を含む出資元は、合併後の会社の約75%を保有するが、その株式は5年間ロックアップされ、年ごとのトランシェで開放されていく。RTPの創業者らが利益確定を行えるのは、株価が50ドルを超えた場合のみであり、これは時価総額が300億ドルを突破した場合ということになる。

ベバートは、この時価総額に見合うだけの野心的な目標を掲げている。彼は、1回の充電で4人の乗客と1人のパイロットを乗せて、約160kmの距離を飛行可能な航空機を開発し、世界中の都市部の人々が混雑した道路の上を飛ぶことができるエアタクシーネットワークを構築することを目指している。そして、温室効果ガスの排出量を大幅に削減しながら、街並みの多くを公園に変えるというビジョンを描いている。
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編集=上田裕資

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