今回のラウンドは、フィデリティやインターコープなどの新規の投資家の主導によるもので、ベイリー・ギフォード、テマセク、カタリスト・ベンチャーズなどの既存出資元が参加した。
新型コロナウイルスのパンデミックは各国の医療システムに大きな打撃を与えたが、Ziplineはドローンを利用して、ガーナとルワンダの病院にワクチンや血液パックなどの医療物資を届けている。
ZiplineのCEOのケラー・リナウドとCTOのキーナン・ワイロベックは、アマゾンがドローン配送計画を発表したのと同じ年の2013年に同社を設立した。彼らはドローンで一般消費者に荷物を届けるのではなく、病院システムや政府に必要不可欠な医療物資を届けることにチャンスがあると考えた。
「私たちは、地方の病院や医療施設にフォーカスして事業を立ち上げた。このビジネスモデルであれば、比較的容易に規制当局の承認が得られると考えた」と、リナウドは述べている。
それから8年がたった今、ドローン配送業界には、アマゾンのPrime AirやアルファベットのWingなどの大手がひしめき合っている。 Ziplineは現在、ルワンダ国内の血液供給量の75%を配達しており、これまでに1万5000件の救命救急配達を実施したという。
さらに、ノースカロライナ州のNovant Healthやガーナの保健省などの病院システムとのパートナーシップを通じて、2500の病院に物資を届けており、ガーナでは新型コロナウイルスワクチンを、農村部に届けている。
今回の新たな調達資金により、同社は近隣のアフリカ諸国や米国内でのプレゼンスを拡大していく。Ziplineは先日、ワクチンを配送するためのエンドツーエンドモデルをデザインし、テストするための契約をファイザーと結んだと発表した。昨年9月に同社は、ウォルマートと提携し、アーカンソー州ベントンビルの本社に配送用ドローンの拠点を設置した。
ZiplineはFAA(米連邦航空局)からの承認に先立ち、ルワンダとガーナでの何千時間にも及ぶ飛行データを提出していた。
「多くの人は、先進的な技術はアメリカで生まれ、それが他の国に伝わっていくものだと考えている。しかし、私たちが目にしている現実は、その逆だ」と、リナウドは述べている。
今回のZiplineの資金調達は、ドローン技術の応用範囲が広がり、ドローンに対する世間の風当たりが和らいできたことを示していると、フロスト&サリバン社のアナリストのマイケル・ブレイズは指摘する。「特にパンデミックをきっかけに、ドローンに対する世間の見方は好意的になりつつある」と彼は話した。