米国のコロナ感染者急増は「ワクチン忌避派の責任」か?

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米国で新型コロナウイルスのワクチン接種を完了した人たちの大半は、国内各地で新たな変異株の「デルタ株」に感染する人が急増していることについて、「接種を受けない人たちに責任がある」と考えていることが分かった。

米ニュースサイトのアクシオス(Axios)と調査会社イプソス(Ipsos)が国内の成人999人を対象に実施、先ごろ発表した世論調査の結果によると、ワクチン接種を2回受けた人の80%近くが、こうした考えを示している。

一方、ワクチン接種を受けていない人たちの間では、「原因」に関するコンセンサスは得られていないもようだ。伸び悩むワクチンの接種率を早急に引き上げたい当局が、問題に直面していることを明確に示すものといえる。

なぜ感染は再び急拡大?


ワクチン接種を済ませた人が、新たな変異株の流行と最近の感染者の増加の要因として挙げたのはその他、ドナルド・トランプ前大統領(36%)、保守派のメディア(33%)、外国からの旅行者(30%)、外国への旅行者(25%)など。

一方、ワクチン未接種の人たちの間で、自らが感染拡大の一因になっていると考える人は、10%に満たなかった。このグループが要因として指摘したのは、外国からの旅行者(27%)、主流メディア(27%)、外国への旅行者(23%)、トランプ前大統領(11%)、保守派メディア(7.5%)などだ。

また、未接種者の間では、ジョー・バイデン大統領を要因のひとつに挙げた人が接種完了者よりも多かった(21%)。米疾病対策センター(CDC)、保健当局に責任があるとした未接種者は、それぞれ19%、18%だった。

ワクチンへの偏見を巡る問題は、米国では非常に党派的なものとなっている。接種を拒否する人は、圧倒的に共和党支持者が多い。これは、Foxなどの保守派のメディアが当初、ワクチンに懐疑的な意見を伝えていたこと(これらはその後、見解を変えている)、政治家が陰謀論を説いて回ったことなどが影響しているとみられる。

また、トランプと盟友たちが積極的に接種を勧めなかったこと(接種を広く推奨するよりも、開発に成功したことを大々的に宣伝していた)、トランプが接種を受けることを公表せず、カメラの前で接種を受けなかったことも、偏見が広がった要因とされている。
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編集=木内涼子

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