子宮内膜症、診断確定までに平均7年半 長くかかる原因は?

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子宮内膜症を抱える人は、世界全体で約1億7600万人にのぼると推定されている。子宮内膜症は慢性痛や倦怠感、不正出血(中間期出血)などの症状を引き起こすことが多く、婦人科の病気の中でも、最も一般的なものとされる。

生理用品と関連製品のサブスクリプションサービスを提供する英ヨッピー(Yoppie)が実施した調査では、診断を受けるまでの時間の長さと、それにより心身が受ける影響の深刻さが明らかにされている。

一方、子宮内膜症に関する理解不足を解消しようと声を上げた人たちの活動は5年ほど前から行われているものの、診断が確定されるまでには、いまだ平均7年半の時間がかかっている。

子宮内膜症に関する情報サイト「スピークエンド(SpeakEndo)」は、患者の3人に1人は、3~4人の医師に相談してようやく診断が確定する状況だと報告している。これは、多くの女性が診断や症状をコントロールするための有効なサポートを受けられないまま、何年間もその痛みについて説明し続けなければならないことを意味している。

慢性的な痛みを抱えで暮らしながら、症状を訴えつつ10年近い時間を過ごすのがどれほどの労力を必要とすることか、それは自ら体験しなければ、理解し難いことだろう。

ヨッピー創業者のダニエラ・ペリは、「子宮内膜症の症状は個人によって大きく異なり、他の病気の症状と似たものでもあることが多いため、診断が難しく、誤診につながることがある。新型コロナウイルス感染症の流行によって医療システムに負担がかかっていることもあり、適切な治療を受けられるまでに、さらに長い時間がかかることになっている」と述べている。

ただ、避けられない問題はあるとしても、診断が確定するまでに平均7年半という長い時間がかかることは、非常に重い症状に苦しむ女性たちの生活の質が深刻な影響を受けているということであり、適切といえる状況ではない。

この調査の前にも、なぜ子宮内膜症の診断にはこれほど長い時間を要するのか、この病気に関する誤解の原因はどこにあるのかについて調べた研究は、いくつも行われてきた。

医学誌「Diagnosis」に7月末に掲載されたオランダのラドバウド大学医療センターの研究結果は、子宮内膜症に関する教育の欠如が、診断がつくまでに長い時間がかかることにつながっていると指摘している。
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翻訳・編集=出田静

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