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ビジネス

2021.08.06 15:02

EV向けソーラー発電の普及目指す米「サンパワー」の試み

Getty Images

EV(電気自動車)への転換が急激に進む中、二酸化炭素を排出しない方法で発電する充電インフラへのニーズが高まっている。こうした中、シリコンバレーの太陽光発電企業「SunPower(サンパワー)」はスペインの「Wallbox」と提携し、家庭やオフィスにEV用充電器の設置を進めている。この分野ではテスラが先行しており、最近ではフォードやSunPowerの競合のSunrunが参入している。

カリフォルニア州サンノゼに本拠を置くSunPowerは、太陽光パネルの顧客に蓄電システムの提供も開始した。同社は、もともとパネルやインバータを設置していたが、今後はユーザーが自宅で発電した電力でEVを充電できる総合的なシステムの提供にビジネスを進化させる計画だ。同社のCEOのピーター・ファリシー(Peter Faricy)によると、将来的には停電時にEVのバッテリーパックから自宅に電力を供給する機能を付加する予定だという。

「自動車メーカーはEVに大規模投資をしており、今後販売されるのはEVばかりになる。そうなると、人々は自宅にバーチャルなガソリンスタンドを設置しなければならなくなる。Wallboxの充電器を経由して車から家庭に電力を供給できるようになれば非常に大きな意味を持つ」とファリシーは話す。

フォードはSunrunと提携し、新型ピックアップトラック「F-150」向けに双方向充電機能を開発した。また、高級EVメーカー「ルーシッド・モーターズ」も家庭とオフィス向けに双方向充電を実現した。SunPowerは、現在自動車メーカーとサービスの提供について協議をしているが、ファリシーは同社のシステムの提供開始時期を明らかにしていない。

SunPowerの取組みの背景には、バイデン政権による気候変動対策がある。同政権は二酸化炭素の排出量を削減するために自動車やトラックのEV化を推進しており、EV市場の大幅な拡大が見込まれている。米国では、2020年の自動車販売台数に占めるEVの割合は2%だったが、アーンスト・アンド・ヤングの推計では2036年にガソリン車の割合を上回るという。過去10年間で太陽光パネルのコストが下がったことと、太陽光発電システムで発電した電力を蓄電するバッテリーシステムの普及により、太陽光を使った充電の魅力が増している。

バルセロナに本拠を置くWallboxのCEO、Enric Asuncionによると、同社の新型充電器「Quasar」はEVのバッテリーパックに蓄えた電気を、必要な時に家に供給することができるという。

「米国では、太陽光パネルとEVのユーザーが重複するケースが多い。SunPowerとの提携により、ユーザーがEVを自宅でより安く、簡単でサステナブルな方法で充電できるようにし、EVの普及を促進していきたい」とAsuncionは語った。

編集=上田裕資

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