ビジネス

2021.08.05

アフターコロナの「富裕層観光」が変化、キーワードは?

Lane Oatey / Blue Jean Images / Getty Images


そのような中でワーケーションというバケーションとワークを結び付ける新しいライフスタイルが出てきました。昨年、環境省の実証実験で、妙高のロッテアライリゾートで、“家族で過ごすワーケーション”を実施しました。お子様が、プログラミングやロボテイックスをしている間、親は各自部屋やカフェで仕事をする。夕方にお子様がプログラミンをした3Ⅾの建物の模型や走行するロボットで一緒に楽しむというものです。最終日に森林浴をしながら近所の滝までトレッキングを親子でしました。

あまりに美しい景色、滝や川のせせらぎ、緑の常緑樹の合間を縫って歩いているうちに、ひとりのお子様が涙を流し始めました。「本当はコロナのあいだ、学校にもいけず、ストレスが溜まって苦しかった。でもママにはいえなかった。今日ここを一緒に歩くことができて、とてもホッとした。楽しい」。


妙高戸隠連山国立公園 「苗名の滝」、親子で森林浴。日本の滝百選の一つに選ばれている苗名滝。落差55m、水しぶきを上げて落ちるさまは迫力満点!子供たちの歓声が上がる。

私が考えるこれからのワーケーションはこのような形だと思っています。企業にとって社員や社員の家族の健康がいかに企業業績に反映するのかは、シリコンバレーの多くの企業がCWO(Chief Wellness Officer)を置くようになったことからもお分かりいただけるかと思います。社員のパフォーマンスや家族・お子様の幸せを考えたとき、ゆるやかなウエルネス・コミュニテイ、健康的で安心な環境、そしてそこで行うアクテイビテイ(ウエルビーング)という機会を提供することが、企業として社員に提案できるワーケーションの形なのではないかと思います。

ワクチンの接種が進み、そろそろ本格的な社会の復興も視野に入れる時期が来ているかと思います。コロナ禍からのレジリエンス(resilience:復活、立ち上がり)には、旧弊を改めてあたらしい未来を切り開くような行動が必要です。ワーケーションはその一つだと思っています。仕事を効率よくするためにも、休暇をとり、一度心身をリセットした状態でリラックスするべきです。また、ウエルネス・リトリートなど、リゾートにこもってデトックスをしながら、体調や美を取り戻すのも、ワーケーションの一つだと思っています。

今年、初めて夏(いつもは冬だけ)、妙高でウエルネス・リトリート「Spa Manna&Manna Kitchen」をオープンしました。朝ヨガをやってビーガン朝食を一緒に食べる。そして、日中は家族で楽しんだり、仕事をしたり。という休暇を過ごしていらっしゃる方のウエルネス・コミュニテイのセンターです。運営は、妙高市の多くの専門家の協力で行っています。食材はここでとれた新鮮な野菜中心です。ワーケーションでいらしたお客様やホリデイでいらしたお客様にご利用いただいています。これからは、ちょっと時間があいた、といらしていただけるおひとりでのご参加やウエルネスエクスパート(ウエルネスをすでに生活に取り入れている上級者)の方たちもお迎えしたいと思っています。


ロッテアライリゾートのSPA MANNAのYOGA(新潟県妙高市)。
次ページ > インタビューを終えて

文=鈴木幹一

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事