なぜ「自由な会社」ほど息苦しくなるのか
「自由な組織」の問題点はいろいろありますが、いちばん問題なのが「ルールが明確ではない」ということです。
「ルールを守れ」と言われると、まるで監獄にでも閉じ込められるような反応を示す人がいます。
しかし、ルールを守る側の人にとって、適切なルールがあるほうが楽なはずです。
たとえば、夏休みの宿題を思い出してください。
「なんでもいいから興味のあることを自由に研究して発表しましょう」
「画用紙1枚に好きなものを描きましょう」
このような課題を与えられたことがないでしょうか。
どうでしょう。とてもストレスを感じたはずです。
では、次のような課題に変えればどうでしょう。
「好きな生き物を1種類選び、研究して発表してください」
「最初に画用紙の真ん中に大きな丸を描いてください。そこから連想したものを自由に描いてください」
それぞれ、「生き物」「大きな丸」というルールを追加するだけで、かなりストレスは軽減されるはずです。
リーダーがやることとして、もっとも大事なのが、この「ルールを決める」ということです。
いま、外で道を歩いていて、交通ルールにストレスを感じている人はいないでしょう。たくさんのルールがあるけれど、車はスムーズに走れている。逆に交通ルールがなかったら、道路事情はめちゃくちゃになってしまいます。
ルールを「決める人」と「守る人」
組織を運営する上で、必ずルールが必要になります。
それを現場レベルで決めるのが、リーダーの役割です。
ただ、ルールを守るとき、もしくは守らせるとき、そこに個人的な感情を加えてしまうと問題が起こります。
「あの人は目標を達成しているから遅刻してもいい」
「出世したから、あいさつしなくてもいい」
「あいつは気に食わないから厳しく注意してもいい」
「中途で入ってきた人だから、前の職場のやり方でもいい」
このように例外をつくってしまうと、チームや組織は、非常に脆くなります。
「急いでいるから赤信号でも走っていいと思ったんです」
そんな車を1台でも許してしまうと、道路は一気に混乱します。
会社も同じです。
「あの人は許されているのに、なぜ自分はダメなのか」と言い出す人が現れると、組織はぐちゃぐちゃになります。
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そもそも、「上司」「部下」などの役割そのものが、ルールの産物です。
ルール上の関係なのですから、それを運営するのにルールが必要なのは当然のことです。
別に、上司のほうが人間的に偉いわけではありません。
会社というもの自体、1人の力では達成できないような社会への大きな目的を達成するための「機能」にすぎません。
ルール上の関係なのだから、ルールで運営するというのが正しいだけです。
そこに感情が入り込んでしまうと、「ルール上の関係」という意識が薄れてしまいます。
リーダーは、個人的な感情で動くのではなく、組織の人間として仮面をかぶり、ルールを守らせないといけないのです。