ロシア版グーグルと呼ばれるヤンデックスは、検索エンジン事業や配車サービス、フードデリバリーなど多様な事業を行っている。同社は2019年に、モスクワ、テルアビブ、ミシガン州アナーバーで、「Rover」と呼ばれるフードデリバリーロボットの運用を開始した。
ヤンデックスの自動運転部門のヤンデックスSDGのCEOであるDmitry Polishchukは、「GrubHubは全米の大学キャンパスに圧倒的なリーチを持つ企業だ。当社の自動運転技術を世界中の様々な市場で積極的に商業化するための次のステップとして、数十台のRoverを配備できることを嬉しく思う」と述べている。
このパートナーシップは、250のキャンパスでRoverを導入しようとしている。グラブハブのキャンパスパートナー担当副社長のブライアン・マディガンは、「ヤンデックスのロボットは、自動車が乗り入れ不可能なキャンパスの区画にも簡単にアクセス可能だ」と述べている。
ヤンデックスの自動運転車両は、2017年にチームが設立されて以来、累計700万マイルの自律走行を達成しており、アルファベットのWaymoに次ぐ世界2位の走行距離を誇っている。同社は約400人のエンジニアや運用スタッフ、サポートスタッフらを雇用している。
ヤンデックスの事業開発責任者のアルテム・フォーキンは、創業から4年間で同社が自動運転の開発に費やした費用がわずか1億ドルだったと述べている。これは、同じ目的のために何十億ドルもの資金を調達したシリコンバレーのチームと比較すると、かなりの低コストだ。
同社のRoverは、テイクアウトの料理や食料品などの配達を行っている。ヤンデックスは、より多くの荷物に対応するために、このロボットのサイズや積載量を増やしてきた。
「当社はRoverの配達コストを抑えるために試行錯誤を重ねてきた。ロシアでは、人間による配達コストが低く抑えられており、私たちはそれよりもさらに手頃な価格を実現しようとしてきた」と、広報担当のユリア・シュヴェイコは述べた。
ヤンデックスの配達ロボットは主に、人々の動きが不規則な歩道などを走行するが、最高速度は時速5マイル程度に抑えられている。ヤンデックスは、自動運転部門のヤンデックスSDGの株式の73%を所有しており、ウーバーが19%、ヤンデックスの従業員グループが残りの8%を所有している。