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米国では住民の貧困率が高かったり世帯所得が低かったりする州ほど、新型コロナウイルス感染症ワクチンの接種率も低い傾向にあることがわかった。米国では変異株のデルタ株が急速に広がるなか、接種をためらう人に働きかけて接種率を上げることが課題になっているが、接種率伸び悩みの背景には政治信条などだけでなく、経済格差の問題も横たわっていることが浮き彫りになった。

全米の国勢調査と州ごとのワクチン接種率のデータを調べたところ、少なくとも1回ワクチンを投与された住民の割合で下位10州のうち、7州(ミシシッピ、ルイジアナ、アラバマ、アーカンソー、テネシー、ウェストバージニア、サウスカロライナ)は貧困率の上位10州に含まれていた。

また、ワクチンを2回投与された住民の割合で下位5州のうち、4州は貧困率が最上位層の州でもあった。全米で貧困率が最も高いミシシッピ州は2回接種率でも最下位、貧困率が7番目に高いアラバマ州は2回接種率が下から2番目に沈んでいる。

一方、ワクチン接種率が高い州はおおむね世帯所得が高く、貧困率は低い。これは2回投与済みの住民の割合で上位10州のうち、6州(マサチューセッツ、コネティカット、メリーランド、ニューハンプシャー、ワシントン、ニュージャージー)について当てはまる。

例外はニューメキシコ州だ。同州は貧困率は全米で3番目に高く、世帯所得の中央値も下から5番目だが、ワクチン接種率では8位につけている。接種率が全米平均よりも大幅に高いネイティブアメリカンの住民が多いことに加え、州による接種推進キャンペーンが功を奏していることが理由と考えられる。

米疾病対策センター(CDC)のデータによると、ワクチンを2回投与された米国民の割合は7月2日現在、47%となっている。少なくとも1回投与された成人の割合は66.7%と、ジョー・バイデン大統領が7月4日の独立記念日までの目標に掲げた70%に届いていない。

接種ペースが鈍化するなか、どんな人たちがどういった理由からワクチン接種を拒んでいるかに関心が集まっている。これまでの世論調査からは学歴、支持政党、性別はいずれも関係していることがうかがえ、とりわけ共和党支持者は接種に非常に懐疑的とみられる。

接種にうしろ向きな人たちの背中を押そうと、当局はさまざまなインセンティブを用意したり、有給休暇や託児サービス、接種会場への送迎といった仕組みを整えたりしている。同時に、誤った情報を払拭すべく広報キャンペーンも行っている。

一方で、米国内のワクチン接種をめぐる格差は、より広範な医療制度面の格差の表れともなっており、また人種による構造的な格差が絡んでいることも多い。

編集=江戸伸禎

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