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一部の企業から、製品にカーボンラベルの表示を求める声が上がっている。カーボンラベルとは、製品の生産にともなう二酸化炭素(CO2)排出量などを表示したラベルで、もともとは英国のカーボントラスト社が考案した。導入を支持する企業には、この問題に対する消費者の意識を高め、カーボンフットプリントがより少ない商品の購入を促す狙いがあるようだ。

カーボンラベルに表示されるCO2排出量では、原材料や製造工程、輸送、使用、処分など、その製品のバリューチェーン全体の生産要素が考慮される。製品に関する表示としては、多くの国で義務づけられている食品の栄養成分表示に続くものだ。

アイデア自体は素晴らしいが…


それ自体はたいへん結構なものだが、先行する食品栄養成分表示の場合、導入されてからしばらくたつものの、多くの国で肥満対策にはあまり役に立っていないように見受けられる。カーボンラベルも似たような道をたどることになれば、われわれは遠からず、気候面でも破滅的な事態に直面するのではないか。

繰り返せば、製品の製造にともなうCO2排出量を評価するという、アイデア自体は素晴らしい。問題は、その評価が一筋縄ではいかないものであり、ニュージーランド発のスニーカーメーカー、オールバーズ(Allbirds)などがマニュアルのなかで指摘しているように、偽装もしやすいという点だ。

この種のラベルをマーケティング目的や、環境に配慮しているように見せかる「グリーンウォッシング」目的で利用するのも容易だ。とくに、その導入が進んでいて、一部の企業が先手を打って自社を業界のリーダー役に位置づけられる一方、消費者側は適切に判断するのは情報が不足している場合には、なおさらそうだろう。

規範となるような生産基準について消費者がはっきりした考えをもてるようになるまで、製品へのCO2排出量の記載は誤解を招くものになりかねず、おそらく、誤った情報を広めるだけの結果になってしまうだろう。

また製品のCO2排出量の評価は、業界でどの企業も受け入れなくてはならない基準が確立されれば、有害な慣行の一部をなくすのに寄与するのは確かだろう。ある製品カテゴリーのベストプラクティス(最良の事例)を基準とし、それに従わない企業にはペナルティーを課す。こうすれば、情報が不十分な消費者に判断をゆだねるのではなく、企業側の取り組みによってCO2排出量を減らしていくことができる。

半面、企業側がCO2排出量削減の責任を消費者に押しつけたり、「市場では、CO2排出量は製品を買う際の判断材料になっていない」などとふんぞり返ったりすれば、間違った方向に進んでいくことになるだろう。

読者は製品を選ぶ場合、カーボンラベルに表示されている情報をどのくらい真面目に捉えているだろうか。時間をかけてラベルの表示を比較しているだろうか。ラベルに記載されている情報は、それだけでは不十分なために、ほとんど意味のないものになってはいないだろうか。

編集=江戸伸禎

サステナブル

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