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2021.06.05 07:00

断末魔の中国オンライン教育企業GSX、詐欺疑惑と規制強化に直面

Getty Images

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中国のオンライン教育企業「GSXテックエデュ(跟誰学)」のCEOであるラリー・チェン(陳向東)は、ここ数カ月で数十億ドルもの資産を喪失した。これは、同社が不正会計疑惑や売上の減少予想、出資元のヘッジファンドの経営破綻、政府のオンライン教育の規制強化などの複数の問題に直面し、株価が急落した結果だ。

ゴールドマン・サックスは6月2日、中国で12年生までのオンライン教育コースを運営するGSXの、入学者数と収益の伸びの鈍化が予想されると述べ、同社の株を「買い」から「中立」に格下げし、目標株価を60ドルから20ドルに大幅に引き下げた。

GSXの株価は1月下旬から88%も急落し、チェンの資産約140億ドル(約1.5兆円)が吹き飛んだ。彼の資産は1月のピーク時には158億5000万ドルだったが、現在は約19億ドルまで減少している。

GSXには他にも悪材料がある。同社は、経営破綻で金融市場を動揺させたアルケゴス・キャピタルから出資を受けており、SEC(米証券取引委員会)から不正行為の調査を受けている。

中国の習近平国家主席は今年3月、放課後の学習サービスの急増が子どもたちに多大なプレッシャーをかけていると指摘し、国営メディアはこれらの民間企業のプロモーション手法に問題があることを指摘した。教育省は、民間教育プラットフォームを監督する専門部署の設立を計画していると報じられた。

その後、政府が小学生向けのオンラインコースを禁止したため、GSXは3歳から8歳までの幼児教育部門を閉鎖した。

一方で、GSXの最大の外部投資家の一人であったビル・ホワンが経営するヘッジファンドのアルケゴス・キャピタルがマージンコールを満たせずに破綻した。これを受けて3月26日にGSXの株価は58%も急落した。

また、4月下旬には、GSXを含む民間教育企業3社が、虚偽の広告を行い、顧客に価格を誤認させたとして、罰金を科された。

ラッキンコーヒーと同様の詐欺疑惑


これとは別に、GSXは米国のSECから、不正会計疑惑に絡む調査を受けている。昨年夏にナスダックを上場廃止となった中国のコーヒーチェーン「ラッキンコーヒー」の不正会計を暴露した、マディーウォーターズ・キャピタルのカーソン・ブロックは、GSXが学生の入学数を誇張しており、「ユーザーの70%から80%が偽物だ」と断定した。

同様に、空売りで知られる米投資情報会社シトロン・リサーチの担当者は昨年4月、GSXの売上高の最大70%が捏造されたものだと思われると述べていた。チェンは、これらの告発について、自身のSNSアカウントで「ばかげた嘘だ」と否定していた。

編集=上田裕資

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