人間でも数えるほどしか経験のない宇宙旅行を終えたフランス産高級ワインが地球に帰還し、宇宙空間がワインの質にどのような影響を与えるのかに注目が集まっている。
米宇宙企業スペースXは2019年11月、実験の一環として1ダースのワイン「ペトリュス2000年」とワインに使用されるブドウの挿し木300本以上を宇宙に向けて打ち上げた。ワインは国際宇宙ステーション(ISS)で地球を周回しながら計438日19時間を過ごし、今年1月14日、地球に帰還した。
欧州のスタートアップ、スペース・カーゴ・アンリミテッドによると、少数の専門家がこの「宇宙ワイン」を試飲。ブラインド・テイスティングで地球のワインと比べた。
結果、専門家らは「見た目と味の両方に大きな変化が見受けられる」と指摘。スペース・カーゴ社の発表によると、特にワインの色が大きく変化していた。宇宙ワインは「明るいレンガ色」をしており、「ルビーの色相にレンガのような反射」があり、「エッジ(液面の縁)の色はレンガの色合いがあり、ディスク(液面)に沿って少しピンクがかっている」とされた。
これは実験の第1段階で、今後宇宙ワインは研究室にて分子レベルで解析される。
微小重力がブドウの木の成長に与える影響については、今も研究が続いている。宇宙に持ち込まれたブドウは、地球のものよりもかなり早い段階で花が咲いたことが確認されている。