米国家族計画は、インフラ整備を中心とした「米国雇用計画」に続くバイデン政権の成長戦略第2弾。教育や育児、医療・介護への支援を柱とし、向こう10年で連邦予算から教育(幼稚園前教育とコミュニティーカレッジの2年間の学費の無償化を含む)向けに5110億ドル、育児向けに2250億ドル、有給の家族休暇や医療休暇向けに2250億ドル、栄養プログラム受けに450億ドルを充てることなどが計画されている。
財源は富裕層に対する増税で賄う方針で、所得税の最高税率を現行の37%から39.6%に戻すほか、年収100万ドル超の世帯を対象に、現在は最高で20%のキャピタルゲインと配当に対する税率も引き上げるとしている。
PWBMによると、富裕層への増税で10年間に1兆3000億ドルを確保できる見通し。これには、バイデン政権が取り組む方針の内国歳入庁(IRS)の執行強化による税収増加分約4800億ドルも含まれる。ただ、米国家族計画には1兆ドルの税額控除も含まれるため、税制変更による実際の税収増は2750億ドルにとどまりそうだという。
PWBMによれば、米国雇用計画のほうも、政権が提示している2兆ドルを上回る2兆7000億ドルかかる見通し。米国家族計画とあわせた支出額は5兆2000億ドルと、計画されている約3兆8000億ドルから大幅に増えることになる。一方、調査会社のムーディーズ・アナリティックスは、両計画の総支出額を4兆5000億ドルと見込んでいる。
いずれにせよ、支出額に違いはあっても、これらの計画は野党・共和党の支持はほとんど得られそうにない。上院共和党トップのミッチ・マコネル院内総務は今週、「4兆1000億ドルのインフラパッケージを支持する共和党議員は誰ひとりいないと断言してよいだろう。そのパッケージのうち、実際にインフラに充てられるのはごく一部にすぎない」と述べている。