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マクラーレン 新アルトゥーラを発表するマクラーレン・オートモーティブ アジア 日本支社 代表 正本嘉宏

4月13日、マクラーレン・オートモーティブは、新たなシリーズラインナップとなる量産型PHEV「アルトゥーラ」を日本初公開した。

マクラーレンといえば、F1のイメージが強い。レーシングカーの世界で50年以上の歴史があり、最前線で得られるノウハウを惜しみなく市販車へ投入するスーパーカーブランドだ。芸術的な流線型のラインを持つ車体は一見してそれと分かり、多くの工程をハンドメイドで生み出すこだわりが、クルマ好きはもちろん、富裕層、リーダー層から熱く支持されている。

強力なエンジンと、咆哮という表現がふさわしい排気音。そのマクラーレンがPHEVへ──。世界の高級車ブランドがEVやハイブリッドを作る時代とはいえ、マクラーレンの発表は多くの人の関心を集めるものとなった。今期は最高益を達成し、日本国内の高級車市場で着実な成長を見せるマクラーレン・オートモーティブ アジア 日本支社代表、正本嘉宏は言う。

「単なるハイブリッドを、マクラーレンは作らない」

マクラーレンと環境


マクラーレンは一般に販売するクルマを「ロードゴーイングカー」と呼び、軽量化と運転することの楽しみの究極を目指している。内燃機関を有するクルマの最高峰のひとつであるマクラーレンとPHEV。これは昨今の自動車業界を取り巻く環境への対応なのか。

マクラーレン正本の写真
マクラーレン・オートモーティブ アジア 日本支社 代表 正本嘉宏

「まず、マクラーレンは『環境性能への取り組みは自動車メーカーにとって議論の余地のない課題』と考えています。2013年、私たちはすでに、〈スピードテール〉という車種で電動化を組み合わせたハイブリッドを登場させており、この分野ではパイオニアの一社でもあります。環境問題が叫ばれる前から取り組んでいることなんです」

マクラーレンは2018年、「Track25」を発表。これは2025年までに全モデルのハイブリッド化を実現するもので、一部にはEV車も含まれる。欧州で発表が相次ぐハイブリッド化への宣言にいち早く具体策を示したマクラーレンであり、今回の新アルトゥーラはその先陣を切るものだ。

「今まで究極のドライビングを提供してきたマクラーレンがハイブリッドを作るとき、環境問題を意識したから面白みが薄まった、となるのは違うと考えました。大切なのは、自分たちの強みと時代を組み合わせて、どう差別化していくかということです。これが新しいアルトゥーラの発想の原点です。

最高のドライバーズエンゲージメントは、最新の技術によって達成されるもので、マクラーレンのポリシーでもある『軽量化』技術では、MCLAというマクラーレン独自の軽量化の設計によりカーボン製タブ(クルマの基礎となる土台、シャシー)をアルトゥーラのために採用し、電動化の負の側面である電池の重量に対するアドバンテージを確保しています。これは将来のEVへの応用にもつながる開発で、また、駆動のためのモーターはこれも新開発のトランスミッションと一体化させ、パフォーマンスに変えるものとなっています。強力なV6エンジンとともに圧倒的な馬力とトルクを発生させます」

マクラーレンは、Formula E、EVのF1と呼ばれるレースのバッテリーサプライヤーであり、すでに電動化に関連する知見を積み上げてきている。従来の爆発的なパワーを生むエンジン、そしてテーマとして実践してきた軽量化技術の組み合わせで、アルトゥーラは誕生したのだ。

文=Forbes JAPAN 編集部 写真=西川節子(人物)

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