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2021.04.23 09:00

信州から世界的ウィスキーを。大軽井沢経済圏が目指す「酒ツーリズム」


千曲川ワインバレーの魅力


鈴木:他ではやっていない地域の特性を生かした地域課題解決型ワーケーションですね。とても面白いと思います。あと小泉市長は、千曲川ワインバレー特区連絡協議会の会長を務められております。そのお立場から、最近ワイナリーの規模が拡大している千曲川ワインバレーの現状と今後の展開をお聞かせいただけますか?

小泉:このエリアは浅間山の南麓に位置し、日本有数の日照時間の長さと少ない降水量を誇り、1日の寒暖差が大きいことも相まって、ぶどうの生育に適した恵まれた地域です。地形的にも真ん中に千曲川が流れており、右岸と左岸でそれぞれ特徴的なワインが造られ、同一品種でも異なる味わいが楽しめます。特に、欧州系品種には定評があり、メルロー・シャルドネのほか、カベルネソーヴィニヨン・ピノノアール・ソーヴィニヨンブランなどが栽培されています。

また、現在、千曲川ワインバレー東地区(広域ワイン特区を8市町村連携で構成 小諸市(事務局)、上田市、東御市、千曲市、坂城町、長和町、立科町、青木村)には、ワイナリーでマンズワイン小諸ワイナリー、ジオヒルズワイナリー、アンワイナリー、テールドシエル(以上、小諸市)、シャトー・メルシャン椀子ワイナリー(上田市)、ヴィラデストガーデンファーム&ワイナリー、アルカンヴィーニュ、アトリエ・デュ・バン、カーヴハタノ、ドメーヌナカジマ、シクロヴィンヤード、ナゴミ・ヴィンヤーズ、はすみふぁーむ&ワイナリー、リュードヴァン、レヴァンヴィヴァン、ツイヂラボ(以上、東御市)、坂城葡萄酒醸造株式会社(坂城町)、たてしなップルワイナリー(立科町)、ファンキーシャトー(青木村)があります。


千曲川ワインバレーでは、ヨーロッパ品種のブドウが多く植えられている

さらにこの他に自らのワインを造り始めたヴィンヤードを含めると47で、志の高いワイングロワー(栽培・醸造を行う作り手)たちの実績から、今もなお続々と新規参入しています。大手大規模ワイナリーから個人経営のブティックワイナリーまで個性的なワイナリーが集積していることも特長です。

鈴木:千曲川ワインバレーがなぜここまで盛り上がっているのか、どのような背景が有ったのですか?

小泉:ここまで広がってきたのは、二つ大きな要因があると思います。一つ目が、長野県がワインバレー構想で積極的に生産者を支援してくれている事です。

二つ目が、栽培から醸造までを学ぶことのできるワインアカデミーがエリア内にあることです。この千曲川ワインアカデミーは、千曲川ワインバレーの生みの親であるエッセイスト・玉村豊男さんのご苦労により設立されました。玉村さんの人材育成を重視した強い思いと取り組みのおかげで、ワイン産業がワイン文化へと発展することができ、造り手やワインファンをひきつける源泉になっているのだと思います。その意味で玉村豊男さんのお力はとても大きいと思っております。
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文=鈴木幹一

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