鈴木:以前から、試験的に土日だけ軽井沢からマイクロバスでワイナリーを巡回するような試みがありましたし、しなの鉄道では2017年から観光列車である「ろくもんプレミアムワインプラン」を実施、交通機関との連携も盛んです。
ワイン愛好家がワイナリーに行くと、ワインを飲み比べしたくなりますから、なかなか自家用車で行くのは難しいと思います。飲んでも良いようにマイクロバス・タクシー・代行などの移動の手段も重要だと思います。
例えば、小諸までしなの鉄道で来ていただき、駅前のこもろ観光局で「千曲川ワインバレー周遊パック」(例 ワイン購入券、タクシー券・バスの周遊券などがセットになった商品)を割引で購入、ワイナリーを試飲しながら周遊するイメージです。
小泉:確かにワイン愛好家の皆さんは、ワインの試飲をされますから、試飲しても良い移動手段が重要ですよね。生産者との交流が増えているだけでなく、地元も活性化されるとても良いアイディアだと思います。
鈴木:今後の課題と戦略をお聞かせいただけますか?
小泉:課題は、生産量と販路・認知度の拡大があると考えています。ワイン産業は、当エリアに新たな経済発展や新しいライフスタイルをもたらしてくれました。SDGsでいくとNo.8, 9, 11に該当します。
また、当エリアのワイン用ブドウ栽培は、かつての養蚕の名残である桑畑等の耕作放棄地を見事なヴィンヤード(畑)に変えてきました。このことは、持続可能な農業展開で大きく地球環境にも寄与する、SDGsでいくとNo.13, 14, 15に該当するモデルにもなっています。世界規模の課題を解決に向けた取り組みを推進するため、長野県やエリアの市町村と連携して栽培地・販路の拡大に取組んでいきたいと思います。
世界基準のワイン産地にしていくことも重要です。幸いなことにマンズワイン小諸ワイナリーは、国際コンクールで数々の受賞歴があり、国賓来日時の晩餐会で採用される世界基準のプレミアムワイン「ソラリス」と再来年に50周年を迎える歴史を持っております。また、シャトー・メルシャン椀子ワイナリーでも、昨年のワールドベストヴィンヤードトップ50に選ばれるなど、プレミアム産地となってきています。
これらの歴史や実績に加えて、地域の信州大学等やIT企業と連携した醸造技術の向上を図ることで、他にはないワインバレーになると確信しています。
このような意味からも、軽井沢をゲートウェイとして周辺エリア(経済圏)が連携することは極めて重要であると思います。
鈴木:いずれも重要な戦略ですね。最近軽井沢のレストランでは、千曲川ワインバレーのワインをラインナップに入れているお店が多くなってきましたし、別荘でのワイン会やBBQでも千曲川ワインバレーのワインが出る事が増えてきたように思います。フランス料理・イタリア料理・中華・和食とマリアージュする機会を増やせば、おのずと消費拡大に繋がると思います。
さらにSNSでワインを飲んでいるレストランやワイナリーの写真や動画を多くの方がアップするような仕掛け(例えば、千曲川ワインバレー愛好家コミュニティーを組織化)も重要だと思います。千曲川ワインバレーの魅力が拡散され、さらにファンが定着していくと思います。