クラブハウスとは、いったいどんなサービスなのか。同社は次のように説明する。
「クラブハウスは、気軽に立ち寄って、世界中の友だちや興味深い人たちと音声で会話ができるスペースだ。都合のいいときにログインして、自分がフォローしている人たちと会話を楽しんでもいいし、リスナーとして参加し、ほかのユーザーたちの会話に耳を傾けることもできる」
きわめてシンプルでありながら、人を動かし、引き込む力を持ったサービスだ。「週間アクティブユーザー数はおよそ200万人で、いまも多くの人が会員制のクラブハウスに招待されるのを待っている。現時点では、クラブハウスが最も勢いがあって話題になっているアプリであることは間違いない」と話すのは、SNSマーケティング企業Socialbakersのプレジデント、Yuval Ben-Itzhakだ。
「イーロン・マスクとマーク・ザッカーバーグがクラブハウスに登場したことで、ますます脚光を浴びた。クラブハウスは要するに、新型コロナウイルスが世界的に大流行し、多くの人が他者と物理的な距離をとらなくてはならなくなった時代に、楽しく刺激的な会話に参加できる手段を提供したわけだ」
噂では、ツイッターがすでに買収へと動き出し、40億ドルを提示しているという。また、クラブハウス側も次なる資金調達を検討しており、かなりの規模に上ると見て間違いないだろう。
では、クラブハウスはなぜ成功したのか。重要なポイントはどのような点なのか。テックとマーケティング分野の専門家8人に話を聞いたところ、次のような答えが返ってきた。
Pierre Subeh|マーケティングテクノロジー企業X Network COO
「クラブハウスは、開始当初から招待制を採用するという、仮想世界におけるエリート志向のクラブというかたちで、イノベーションに新たなひねりを加えた。ヨットクラブのスマートフォン版だと考えればいい」
James Wilsterman|音声制御エンターテインメント企業Volley 共同創業者
「クラブハウスが何よりも興味深いのは、リスナーが自分のミュートを解除して会話に参加するだけで、いとも簡単に音声クリエーターになれる点だ。しかも、人間の声そのものが情報量に富んでおり、言語やトーン、間合い、強調を通じて意味を伝えることができる。
多くの人にとっては、簡潔なツイート文を考えたり、人に訴えかけるインスタグラムのストーリーを作成したりするよりも、ただ会話を始めるほうがずっと自然だ。会話は自然で直感的なものであるにもかかわらず、ポッドキャストが20年前に普及し始めたあとは、声がソフトウェアへの入力手段として投資の対象となることがあまりなかった」