金融教育にも「ゲーミフィケーション」の導入を
先日、知人から金融教育をテーマに議論している動画のURLが送られてきた。私が金融教育ベンチャー企業を経営していることもあって、興味があるのではないかと思い、送ってくれたようだ。
番組自体がバラエティ要素を含んでいたので、議論の内容に関しては賛同しかねるものもあったが、金融教育についてのより本質的な意見も散見され、全体的にはとても良い内容だった。
金融教育について議論する際に、意外と抜け落ちることの多い論点がある。それは「稼ぐ力」を身に付けさせることの重要性だ。
動画の中では、投資をする場合はある程度のお金がないと意味がないので、まずは稼ぐ力を身に付けることが優先されるべきという意見や、投資の知識を先に身に付けて実践しても、多くの人は損をしてしまうという意見もあった。
投資の勉強をさせても多くの人にとっては意味がないという論調になってしまっていた点は、少し行き過ぎた考えであるとは思うものの、確かに「どのように稼ぐのか」という観点を金融教育で教えるべきなのは間違いない。
残念なことに、日本の会社員の給料はこの20年間で伸びていない。そして、統計に基づけば、雇用者の約4割は非正規雇用になる。そのような厳しい環境下でお金を稼ぎ、暮らしに必要な費用を払った後に、どうしたら投資にまわせる原資を積み上げていくことができるのかという話を欠いてはいけないだろう。
とはいえ、ここまでやらなければいけないとなると、金融教育を現行のカリキュラムに導入することはますます難しくなる。実際、現場の声を聞いてみても、ただでさえ英語やプログラミングといった科目まで追加されたことで、これ以上の追加は先生にとっても生徒にとっても負担が大きすぎるという意見が多い。
このような現実を踏まえたうえで、正しい金融教育を浸透させるには、すべてを学校教育に押し付けるのではなく、やはり官民共同でプログラムを組み、子どもたちに余暇の時間を一部充ててもらえるような、彼らが飽きない仕組みを設けることが重要だろう。
海外では、すでに「ゲーミフィケーション」という取り組みがあり、受験勉強のような座学ではなく、ゲームをしながら学んでいけるような仕組みが用意されている。金融教育と言っても、従来の座学中心ではなく、対象年齢に合わせて、それこそスマホやタブレットでできるゲームや、実際にお店屋さんごっこのようなアクティビティを混ぜていくことも一考すべきだ。
連載:0歳からの「お金の話」
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