──コロナ禍において、Voicyの需要はどのように変化しましたか?
ユーザー(聞く人)数とパーソナリティ(発信する人)の応募者数、どちらも大幅に増加しました。
ユーザー数は2019年から2020年の1年間で約4倍に。月あたりの利用者は100万MAUまで成長しました。さらにClubhouseが上陸した1月は昨月対比60%以上伸びています。パーソナリティの応募者数も、1月は昨月対比30%以上増加。1カ月の間に約1300人の申し込みがありました。
ここ1年でリスナー数を大きく伸ばしたチャンネルは、日本経済新聞社の「ながら日経」です。ニュースを聞くことを習慣にする人が増え、フォロワー数は現在7万人超。今後も伸び続けていくと思います。
声そのものよりも、生き方が評価される
──そもそも「声のインフルエンサー」は、いつどのように生まれてきたのでしょうか。
大きく分けると2段階あると捉えています。
1段階目は、2018年から2020年。もともと有名だった人が自分の声で発信し始め、さらに自分をエンパワーするようになりました。はあちゅうさんやイケダハヤトさん、西野亮廣さんなどが音声メディアを使い始めた時期です。
2段階目は、2020年から2021年にかけて。今度は有名人だけではなく、一般人の中にも声の発信で人気を得る人が生まれました。例えば、Vociyで3万人超のフォロワーを持つ「ワーママはる」さんは一般人です。TwitterやInstagramよりもVoicyのフォロワーが多い人や、Voicy経由でオンラインサロンにユーザーを誘導する人も出てきました。
Voicy 緒方憲太郎代表
──「声のインフルエンサー」の中で、特に人気を集めている人の特徴はありますか?
自分の人生をリアルに生きている人。「生き方が好き」と思われる人ですね。音声は発信する手間が少ない分、中身の魅力的が前面に出やすいんです。そうした人間性は話す内容だけでなく、話し方にも表れます。
特に、忙しい人向けのコンテンツを出すインフルエンサーは人気が高いですね。Voicyでは最近、ワーママ(*ワーキングママ、働く女性)のユーザーが増加しています。ヒアリングを通じて、時間がない彼女たちは「ながら聞き」ができるコンテンツを求めていたことがわかりました。ネット上には意外とワーママ向けの情報が少ないようです。
──ではこれからは、「ながら聞き」に対応する音声コンテンツが中心になっていくのでしょうか。
そうですね。メイク中やランニング中でも聴ける、シーンに合わせた尺のコンテンツが中心になっていくでしょう。動画もテキストも時代とともに短くなっていますから、音声もその流れに乗り、10分以内の短尺が中心になっていくと思います。