しかし、いくつかのNGO組織は、そうした報告書の正確性を疑問視している。具体的には、環境保護団体「マイティ・アース(Mighty Earth)」、奴隷や人身売買撲滅を訴える「ビー・スレイヴリー・フリー(Be Slavery Free)」や「フリーダム・ユナイテッド(Freedom United)」、環境志向的な製品の購入を推進する「グリーン・アメリカ(Green America)」、フェアトレード推進団体「フェア・ワールド・プロジェクト(Fair World Project)」といった組織だ。
彼らは、実際の数はそれより多いと主張し、「数十年にもわたって児童労働の撲滅が叫ばれ、企業が自主的に努力しているにもかかわらず、児童労働の数は200万人に達した」と述べている。
トニーズチョコロンリーは、「スイート・ソリューション」の発売に加えて、2017年からは他のチョコレートメーカーやパートナーとともに、サプライチェーン上で人権侵害があった場合に企業に責任を負わせることができるよう、法整備を求めて運動している。同社は2020年12月、米最高裁判事に対して、カカオ産業の児童労働をめぐる訴訟について、企業側に責任を課す判決を下すよう要請した。
EUでは、カカオ産業をめぐる取り組みが加速している。また、米国には新政権が誕生したほか、国連(UN)は2021年を児童労働撤廃国際年と宣言した。メッセージは明確に示されている。
カカオ産業における児童労働問題が深刻さを増すなか、こうした取り組みは歓迎されるべきだ。しかし、それを成功させるうえでは、より多くのチョコレートメーカーによる協力が必要となる。消費者も、自分がどのようなタイプの取引を支持したいのか、慎重に選択する必要がある。有害な児童労働が行われている取引は選択されるべきではないのだ。