だが、その考えは科学的な証拠によって裏付けられたものだろうか?
コンサルティング会社コーンフェリーは2019年、従業員のストレスレベルは過去30年間で20%上昇したとする調査結果を公表した。また、最大のストレス要因として最も多くの人(35%)が挙げたのは、直属の上司だという。
2013年に発表された別の調査結果では、仕事にストレスを感じる労働者の割合は、83%。この調査で最大のストレス要因とされたのは、低賃金と仕事量、そして「うっとうしい同僚」だった。
この結果に、うなずく人も多いだろう。私たちのほとんどは、友人や家族よりも長く、同僚たちと時間を過ごしている。人間は社会的つながり、特に「仲間」という社会の中でのつながりを求めることから、一緒に働く人たちは、私たちの人生の経験に多大な影響を与える。
「関心」があれば満足できる?
米ヒューストン大学が新たに発表した研究結果によると、仕事に対する満足感は、実際にしている仕事よりも、一緒に働く人たちに関連しているという。
この研究は、「関心のある分野の仕事なら、高い満足度を得られるはず」という従来の一般的な考え方が正しいのかどうかを確認するために行われたものだ。
すでに数多くのメタ分析による研究が行われてきたこのテーマについて、同大学の研究チームは過去の研究の問題点を踏まえた上で、65年間に発表された105件の研究結果を改めて分析。その結果、「関心があることを仕事にしたことで得られる満足感は、当初の期待を下回る」ことを確認した。
ただ、期待していたほどではなかったとしても、関心が持てることを仕事にできれば、成功する可能性が高まることは確かだと考えられるという。同大学心理学部のケビン・ホフ助教(産業・組織心理学)は、「自分がしている仕事に関心を持てることが、パフォーマンスとその後の昇級、昇進にとって重要であるように思われる」と述べている。