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PCの時代は終わっていない/Photo by Daria Nepriakhina on Unsplash

米で人工知能・テックニュースの主要メディアとして知られる「Venture Beat」から転載し紹介する。


近年、凋落の一途をたどるPC市場だが、最新のデータでは売上が大幅増になる快挙を成し遂げたことが分かった。それは、人々の暮らし方や働き方が、新型コロナウイルス感染のパンデミックの影響を大きく受けて変化したことの証しだといえる。おそらく、感染危機の終息後もその流れが続く可能性が、データから読み取れる。

IT通信機器の市場調査会社Canalysの最新データによると、2020年度第4四半期のデスクトップ、ノートブック、ワークステーションのPC「世界出荷台数」が前年同期比の25パーセント増加した。

Canalysのデータの中でも、購買習慣に多大な影響を与えた2つのデータに注目したい。

ひとつは、ノートブックと携帯型ワークステーションの販売台数が前年同期比の44パーセント増となり、2億3510万台に達したことだ。もう一方で、デスクトップPCとデスクトップワークステーションの販売台数が20パーセント減の6190万台に落ち込んだ。デスクトップの減少については、デスクトップ型をニッチ製品へと軌道修正させたこの10年間の流れに従った結果ともいえる。このデータから、明らかに、企業は固定型のワークステーションよりも柔軟性を望んでいることがわかるし、将来の雇用形態(自由な働き方)を想定して‟賭け”には出ないのだ。

グラフ
業界は年間のPC販売台数を11%に乗せた

グラフの通り、今回の成長は3期連続となったが、ロックダウンが拡大され、購買習慣が変化し加速化した第1四半期に販売業者が在庫不足に陥っていなければ、4期連続になっていたはずだった。業界はこの供給不足を乗り切り、かろうじて年間の販売台数を11パーセント増に乗せた。

Canalysの調査によれば、2020年は成長率が過去10年間で最大を記録し、販売台数も2014年来で最大規模になった。好調な伸びをもたらしたこのトレンドについて、この10カ月の間、業界の話題になっていた。2020年後半3カ月の大きな伸び率は、企業と消費者の両者がリモートワークとオンライン学習が固定化の動きに向かうと想定して、PCへ投資を行っているということを示している。

「成長は、企業と消費者の両サイドから生まれている」と、Canalys PC部門チーフのルシャブ・ドーシー(Rushabh Doshi)は指摘している。「ビジネス向け出荷は、ビジネス(在宅ワーク)の継続性を確保する必要性が後押ししている。同様に、消費者の購入も、オンライン学習を維持するための必要性が原動力となり、増加につながっているのです」と、好調の理由について説明している。

企業側の視点から見ると、2020年は多方面において「気づき」の一年だった。

企業は長い間、従業員は毎日オフィスに来て仕事をするものと考えていたが、業務の流れを急きょリモートワークに移行したにもかかわらず、2020年の生産性はそのままの高い水準で維持できることが分かった。さらに、それによって、不動産コストをギリギリまで切り詰め、大規模な予算削減が可能になるという大変うまみのある気づきもあった。

従業員向けにラップトップを購入する経費は、大型賃料の解約によるコストの大幅削減とは比べ物にならないものだ。この動きをさらに恒久的な対策として定着させるには、取り組まなければならない課題が山積している。販売業者は、新型コロナのワクチン接種が開始しても、この傾向が果たして続くのかどうか思いを巡らせているだろう。しかし、2020年の売上のおかげで、「PCの時代は終わった」と話題にしなくなることだけは、確かだ。

翻訳=中沢弘子 編集=坂元耕二

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