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英文芸誌リテラリー・レビュー(Literary Review)は、同誌が毎年授与している「小説における最悪な性描写賞」を今年は中止すると発表した。2020年にはおぞましいことが既に十分起きたから、というのが理由だ。

同誌の編集部は次のように述べている。「審査員らは、今年は悪いことが多過ぎるので、その上で人々をひどい性描写にさらすことは正当化できないと感じた。しかし一方で、2020年度の賞が中止されたからといって粗悪な性描写をしてもかまわないと受け取るべきではないとも警告した」

この警告は少し遅過ぎたかもしれない。数カ月にわたる隔離生活により、膨大な数の人々が退屈し、性的に欲求不満となった。インターネットの奥深くにある闇があさられ、新たなフェティッシュが発見され、人々の頭では奇妙な空想が繰り広げられる中、読み手が恥ずかしくなるような痛々しい文章を書く新人作家たちが現れることは間違いないだろう。

来年の選考では仰天のエントリーが出るだろうが、性描写はただでさえ難しいのだし、今年一人で多くの時間を過ごした作家たちを責めるべきではないだろう。

同賞の歴代受賞者は男性が多いことは想像に難くないが、女性も何人か受賞したことがある。有名なのは、ボリス・ジョンソン英首相の妹でジャーナリストのレイチェル・ジョンソンだ。

審査員らは、ジョンソンが奇妙な動物の比喩を積極的に使ったことに「感心した」と論評。ジョンソンは、登場人物が相手の体をまさぐる指の動きを「ランプシェードの中に捕われたガ」のようだと形容し、その舌を「皿に入ったクリームを一滴も残さないようになめる猫」に例えた。

本人は受賞を好意的に受け止めており、「非常に光栄だ」とコメント。さらに「全く不愉快に感じていない。文学界で評判を高めたい男性たちはこの賞を屈辱的ととらえるかもしれないが、その年に本を出版したなら、どんな形でも注目を浴びることは歓迎だ。それがたとえ、こうした少し怪しげなものだったとしても」と述べた。

このほかの主な受賞者としては、英歌手モリッシーがいる。受賞理由となったのは、小説『List of the Lost』での「球根のように膨らんだごあいさつの悲痛な興奮」という表現だ。多くの作家は自身の受賞を面白がって受け止めるが、モリッシーは苦々しい反応を示し、受賞は「おぞましい」ことであり、「無関心を保ち距離をとるのが最善だ」と述べている。

2021年がより良い年になることを祈ろう。来年は体の部位についてのぎこちない比喩やお粗末な描写が雪崩のように出てくるだろうが、私たちは今、気持ちよい笑いを必要としているのだから。

編集=遠藤宗生

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