バーガーキングは、アメリカでは日本よりずっと数多くの店舗を持ち、人々が日常的に立ち寄るハンバーガーショップだが、トップであるマクドナルドに比べると、まだまだ半分ほどの規模のチェーンだ。ワッパーは、そのバーガーキングの最もスタンダードなハンバーガーである。
「The Whopper Detour - Cannes Lions 2019 Winners」
バーガーキングのお茶目さがウケた
そんなバーガーキングが、ワッパーを1セントで買えるアプリを開発。マクドナルド店舗の180m以内でのみ1セントでオーダーできるようにしたのだ。
実際には、マクドナルドの店舗でオーダーする必要はないのだが、多くの人はマクドナルドの店舗まで出かけていき、アプリを通じて1セントワッパーをオーダー、そこから案内に従ってバーガーキングの店舗にやって来なければならない。つまり「廻り道」するかわりに、1セントでワッパーをゲットできる。
つまり、バーガーキングは、全米に1万4000店以上あるライバル社であるマクドナルドのリアル店舗を、自社のモバイル・プロモーション伝達のツールとして活用したのだ。マクドナルドの店舗の多さに“乗っかり”、それを使い倒したということになる。
しかも丁寧なことに、マクドナルドの店舗近くに「廻り道ワッパーに参加して、ここで1セントワッパーをゲットしたよ!」という撮影スポットまで配置して、人々がSNSに投稿しやすいようにもした。するとテレビ番組を始め多くのメディアがこの試みを取り上げるようになり、ますます多くの人が知ることになった。
カンヌライオンズに参加した人のなかには、この施策に対して「卑怯な感じがする。こんなに評価されることが理解できない」という感想を述べる人もいたが、少なくてもアメリカ人は歓迎した。
廻り道ワッパーの遊び心を面白いと感じ、マクドナルドのドライブスルーで「ワッパーください」とジョークを言うアメリカ人も、相当数に上ったようだ。結果、バーガーキングは、過去4年間で最高の来店者数を達成、大きな成功を収めた。