ビジネス

2020.12.14 14:30

マクドナルドの店舗をPRに活用 バーガーキングの「廻り道ワッパー」作戦


そもそも、バーガーキングはここ数年にわたり、業界トップののマクドナルドに対して個性的なチャレンジを仕掛けることで人気を集めている。以前には、国連が定めた国際平和デーに際し、「その日はバーガー戦争も休戦にして、共同で『マックワッパー』を売り出さないか」と新聞広告でマクドナルドに呼びかけ、話題を集めたこともあった。

自社の商品の広告宣伝に、ライバルまで活用するバーガーキングのやり方は、その「お茶目さ」で広く受け入れられているようなのだ。

相手に乗っかることで成果を上げる


さて、この事例から、われわれが学び得るものは何だろうか?

ひとつ自分自身の経験談を披露しよう。30代に入って、コピーライターからクリエイティブディレクター(クリエイティブチームのリーダー役)に昇格した筆者は、一時期成果が思わしくなく、正直くすぶっていた。

クライアントに複数の広告代理店が呼ばれてアイディアを競う競合プレゼンでも負けが続いた。以前から担当しているクライアントの案件でも、制作した広告クリエイティブが世間的に高い評価を得られなかった。

そんなとき、隣の部署の先輩クリエイティブディレクターが、ある競合プレゼン案件に関して、「共同クリエイティブディレクターということで一緒にやらないか」と声をかけてくれた。

その先輩はCMプランナー出身で、筆者はコピーライター出身。その人は感覚に優れていて、こちらは論理展開が得意で、相互補完的に相性がよく、競合プレゼンに勝利し、制作したものも高い評価を得られた。

しかし上司は良い顔をしなかった。お前は1人前なのだから1人でやれと言う。クリエイティブディレクターを共同で行うのが、稀なケースであるのは確かだった。しかし、自分はその先輩の能力に“乗っかる”ことで成果を挙げることができたのだ。

相手もこちらを求めている。これはやらない手はないと考えた筆者は、上司の言明をのらりくらりとかわして、そのまま共同作業を続け、他の案件でも成果を挙げ続けることができた。

その期間を経て、筆者は「ひと皮むけた」と思っている。すると、1人でクリエイティブディレクターを務めるようになっても、次第に成果が挙がるようになっていった。

自分の仕事が不調なとき、思うように成果が挙がらないとき、まだ力が足りないと思うとき、そんなときこそ、人に“乗っかって”みることを、試してみる価値はあるのではないだろうか。

連載:先進事例に学ぶ広告コミュニケーションのいま
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文=佐藤達郎

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