ローカルでオーガニックな食材の利用はもちろんだが、失われつつある伝統食材の利用や生態系の再生への取り組み、フードロスの削減、貧困や教育など社会的な持続可能性への貢献など実にさまざまだ。
東京の少し前に発表されたイタリア版ミシュランでも、「循環型レストラン」が高く評価される傾向が見られた。イタリアでは無農薬、地産地消の環境に配慮した食材を使うことはトップレストランでは当たり前になってきており、地域の歴史や伝統を色濃く残した食材の利用への意識も浸透している。よって環境配慮型の食材の選択ということからもう一歩踏み込み、レストラン周辺の環境・生態系を自ら再生していくような自給自足型の店が期待されているようだ。
だからこそ、都市よりも自然豊かな郊外や地方にあるレストランが選ばれるようになっている。一方で、都市部で同様の取り組みは実現可能だろうか。そのヒントとなる事例が、日本第2の都市、大阪にあるので紹介したい。
3つのシンプルな循環を実践 大阪のレストランの先進性
2020年2月、大阪・天満にできたばかりのfunachef(フナシェフ)は都会の真ん中で、地に足のついた取り組みを実現している。オーナーの船岡勇太シェフは、有名店を渡り歩いた後、サッカーの本田圭佑選手のプライベートシェフとして世界各国を巡り、世界のフードロスへの取り組みに触れ、食材を最後まで使い切る「循環型レストラン」を開店しようと決意したという。
funachef店内
実は、私がこのレストランの話を耳にした時、最初はあまりピンとこなかった。野菜の捨てられがちな部分や、出汁をとった素材をうまく再利用する工夫などに加え、再生利用された家具や廃材を活用していることなどが高く評価されていると聞いていた。しかしこのようなことは、クリエイティブで意識が高いシェフなら普通に取り組んでおり、和食界などでも当たり前に実践されていることだ。
しかし、実際に船岡シェフに話を聞いて印象が一変した。それはこんなシンプルな3つの事実からだった。