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Photo by Franklin Jacome/Agencia Press South/Getty Images

新型コロナウイルスの感染者を減らすことに「最も大きな影響を及ぼす」のは、検査数の増加であり、それはワクチンなしでも感染拡大を阻止し得るほぼ「唯一の方法」だと考えられるという。

米国内で感染者の急増が続き、検査体制がひっ迫するなか、ジャーナル「ヘルス・アフェアズ(Health Affairs)」に先ごろ発表されたこの研究結果が示すのは、検査数を増やすことの重要性だといえる。

スリランカ保健政策研究のチームは、今年3~6月の世界173カ国・地域の新型コロナウイルスの感染状況と、PCR検査がそれにどのような影響を及ぼしたかについて分析を行った。

その結果から明らかになったのは、「ヒトからヒトへの感染を減らし、流行を抑え込むための唯一の既知の方法」は、「実施するPCR検査の数を増やし、陽性と判定された人を隔離し、接触者を追跡すること」だという。

ニュージーランドやカンボジアなど、新型コロナウイルスの流行をほぼ抑え込んだとみられる各国には、検査数を十分に増やした(陽性率を低く抑えた)という“共通の要因”があった。

世界保健機関(WHO)は検査数に対する陽性判定の割合(陽性率)が10%前後となる検査体制が適切な基準との見方を示しており、米政府もこれに従っている。だが、研究チームによれば、この割合では「感染拡大をコントロールするには不十分」だという。

そのほか研究チームは、学校の閉鎖とマスクの着用も感染拡大の抑制にいくらかの効果をもたらした一方、感染を抑え込むための介入策として、相対的な影響が最も大きかったのは検査数の増加であり、“統計的に有意”な介入策はほかにはなかったと説明している。

「早期から継続して積極的に検査を行い、感染者をその検査体制で対応可能な程度の数に抑え込み、追跡し、隔離することが、恐らく(感染者の増加を示す)曲線を平坦化するための最善の方法」であり、「費用、経済成長、そして人命の面で、最もコストを低く抑えられる方法だと考えられる」

米国の深刻なリスク


研究チームはそのほか、新型コロナ感染に関する最大のリスク因子の1つは、「米国内にいることだ」と指摘している。世界のその他の地域にいることに比べ、米国内にいることは感染リスクを12.7%高めるという。

新型コロナウイルスのパンデミックが発生して以来、米国では検査数を適切な水準に引き上げることが難しい問題となってきた。ドナルド・トランプ大統領が誤って「感染者数が急増した原因は検査数が増えたことだ」と主張し、検査を批判。実施する検査数を減らしたい考えを示唆したことで、政治的論争の的になってきたためだ。

パンデミックの初期と比べれば、米国の検査能力は大幅に拡大している。だが、新規感染者数が過去最多を更新するなか、依然として数多くの課題が残されている。

米会計検査院(GAO)が10月に行った調査では、米国の3分の1~2分の1の州が、過去30日間に検査に必要な物資や検査機器の不足に直面していたことがわかっている。感染者数の急増とホリデーシーズンに入ったことで、各地の検査を受けられる施設の前には、さらに長い行列ができている。

編集=木内涼子

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