shutterstock.com

イタリアでは、ピザの注文で命を救うことができる。

同国では8月、35歳の女性がパートナーの虐待から逃れようと、警察に電話をかけてピザを注文するふりをした。電話に出た担当者は女性が助けを求めていることを察し、「ピザの宅配」先として伝えられた住所には警察官が出動。パートナーの男は逮捕された。

慈善団体アクションエイドは11月25日の「女性に対する暴力撤廃の国際デー」に合わせ、イタリアでドメスティックバイオレンス(DV)被害に遭う女性への支援が不足している現状についての意識向上を目指す運動を開始した。

イタリアでは新型コロナウイルス流行に伴うロックダウン(都市封鎖)により、女性が被害者となる暴力・殺人事件の発生件数が増加。ジュゼッペ・コンテ首相は24日、新型ウイルス対策により「不本意にも多大な苦悩が生じた」ことを認めた。

アクションエイドは、11月25日から12月2日にかけ、「Call4Margherita(マルゲリータのために電話しよう)」と題した運動を開始した。同団体のアンバサダー、クラウディア・ジェリーニによると、この「マルゲリータ」はピザを注文するふりをした女性を象徴する名前で、「支援を得られず毎日危険にさらされている全ての女性を象徴している」ものの、同時にDVに対する闘いの象徴となるピザの名前でもある。

運動にはミラノやボローニャ、ローマ、ナポリの多数のピザ店が参加。期間内にマルゲリータピザを注文すればCall4Margheritaの配達担当者がピザを届けてくれる。ピザは特注の赤い箱に入って届けられ、箱には以下のメッセージが書かれている。

「35歳のマルゲリータは、暴力をふるうパートナーから逃れるため、このピザを注文するふりをした。多くの女性も同じことをしている。だが、暴力撲滅を目指す施設が資金不足によって閉鎖の危機にある状況が続き、社会福祉事業や警察、裁判所、病院に、助けを求める声に対応するための訓練を受けたスタッフがいなければ、暴力と闘う上でこれよりも良いツールは存在しない」

協賛しているピザ店は、キャンペーンに関するポスターや情報を掲示する。この運動の目的は2つある。

1つは、暴力と闘う上でより効果的なツールが喫緊に必要とされているとの意識を高めること。アクションエイドでプログラムマネジャーを務めるエリザ・ビスコンティは「女性が今も、暴力から逃れるためにピザを注文するふりをするという策を思いつかなければならないのなら、それは現在のシステムが機能していないということ」と指摘し、イタリアでの対策不足を強調した。

2つ目は、反暴力施設に対する支援だ。ピザが1枚注文されるごとに1ユーロ(約125円)が寄付される。アクションエイドはこの寄付金を春のロックダウン時に設立した緊急基金「#closed4women」の運用に回し、反暴力施設での予想外の出費や、新型ウイルス流行中やその後の女性支援の継続の支援を行う。

編集=遠藤宗生

PICK UP

あなたにおすすめ