ワクチン期待で株式市場に明暗、Zoomなど「在宅銘柄」が大幅安

Kena Betancur / by Getty Images

11月16日、米製薬会社モデルナは、開発中のコロナワクチンの最終治験で94.5%の有効性を確認したと発表した。先週は、ファイザーも同様なワクチンを発表しており、コロナへの懸念が和らいだ結果、株式市場では期待感が高まった。

16日のニューヨーク市場でダウ工業株30種平均とS&P 500は史上最高値を更新し、それぞれ1.6%と1.2%の上昇となった。一方で、テック銘柄が多いナスダックは市場全体から遅れをとり、0.8%高に終わった。

S&P500の上昇を牽引したのはエネルギー株で、TechnipFMCやシュルンベルジェ、バレロ・エナジーなどの企業は、16日にいずれも約10%の上昇を記録した。ただし、これらの銘柄は依然として年初から40%以上の下落となっている。

S&P 500のセクター別で、2番目に上昇したのは航空・航空宇宙株で、ボーイングが8%の上昇(それでも年初来では40%安)とリバウンドの先頭に立ち、アメリカン航空やデルタ航空、ユナイテッド航空らも4%から5%の上昇となった。

さらに、ファイナンシャル・セレクト・セクター SPDR ファンドも2%高となった。バイタル・ナレッジ・メディア創始者のアダム・クリサフルリは「ワクチン開発の進展で、銀行が大幅な準備金の積み増しを必要とする可能性が低くなり、連邦準備制度理事会(FRB)が今年末に資本還元制限を解除する可能性が高まった」と指摘した。

豪華クルーズ船の運行会社の株価も上昇した。米国の大手3社のカーニバル、ロイヤル・カリビアン、ノルウェージャンの株価は、16日にそれぞれ10%、7%、6%の急騰を記録した。しかし、この3銘柄も年初来では45%以上も下落している。

アリー・インベストの投資戦略主任は、「今後は航空会社やクルーズ船、レストランなどのバリュー銘柄や旅行関連銘柄など、パンデミックの打撃を強く受けた銘柄に上昇余地がある」と述べた。

ウェルスアドバイザリーのグレンメディは16日の顧客向けノートで、「今後は、これまで回復に遅れをとってきた銘柄が、市場のリーダーになる可能性がある」と述べた。

ステイホーム銘柄は大幅に下落


一方で、FAANGと総称されるフェイスブック、アップル、アマゾン、ネットフリックス、アルファベットらの株価は、ほとんど変わっていない。それどころか、Zoomやペロトン、Twilioなどの「ステイホーム銘柄」は実際、ピーク時から大幅に株価を下げている。

「これは、長期的なトレンドの変化の入り口を示す兆候なのかもしれない」とグレンメディは分析した。

エアビーアンドビーは年内IPOへ


今年のホリデーシーズンは、コロナウイルスの感染者数が急増し続けているため、経済活動がさらに停滞する恐れもある。しかし、全米小売業連合会は先日のレポートで、今年のホリデーシーズンの消費者の支出額が一人あたり平均880ドルに達し、昨年とほぼ同水準になると予測した。

民泊サービスのエアビーアンドビーは16日午後、上場目論見書の「S1」を米証券取引委員会(SEC)に提出し、長らく期待されていた同社の上場が、早ければ年内にも実現する見通しだ。

エアビーアンドビーは3四半期連続で赤字を計上し、その間の損失額は約13億ドルに達していたが、直近の四半期では2億1900万ドルの黒字を報告し、周囲を驚かせていた。

同社の今年第3四半期の売上は前年同期比18.5%減だったが、第2四半期に記録した前年同期比75%マイナスという数値に比べると、大幅に改善していた。

編集=上田裕資

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