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社会を変えるトレイルブレイザー(開拓者)の本質とは(Photo by Getty Images)

今年8月に発売され、ビジネスパーソンの間で話題となっている本がある。セールスフォース・ドットコムの創設者であり、会長兼CEOを務めるマーク・ベニオフの共著『トレイルブレイザー 企業が本気で社会を変える10の思考』(東洋経済新報社)だ。

世界的パンデミックを経験しているいまこそ、ベニオフのような「アクティビストCEO」が求められている。ビジネス界でもコロナ禍には「Build back better(より良い状態で立て直す)」という言葉が聞かれるが、CEOでありながら性差別反対の発言をするなど、異色の社会的な言動で注目を集めてきたベニオフの思考法は、今後企業が生き残るためのヒントを教えてくれるだろう。

注目のスタートアップを率いる女性起業家であるシナモンCEO平野未来と、WELY CEO松岡奈々に、社会を変える「開拓者(トレイルブレイザー)」になる条件について考えを聞いた。

社会を変えたいという強い意志を持ち、事業を立ち上げた2人は、セールスフォースを世界的企業へと成長させたベニオフから何を学び、社会にインパクトを与える企業を育てるためにどんな未来を見ているのだろうか。

年収や企業規模は関係ない 信頼が集まる理由


マーク・ベニオフといえば、2015年3月頃にアメリカの一部の保守的な州で議論されていた反LGBTQ法について抗議の意を示し事業ボイコットまで行った人として記憶している人もいるだろう。本書でも、当時の心境や行動の変化が語られている。

今では積極的な社会貢献活動をしていることで知られるベニオフだが、反LGBTQ法のニュースを聞いた社員から「あなたはどうするのか」という問いに対して、「私はテック企業のCEOにすぎず、政治家ではない」と困惑したという。そんな彼が自ら先頭に立ち、法案に反対する運動を立ち上げた理由は、多くのメールや電話を通じて社員たちが彼にそのような行動を求めていたからだという。

この出来事をきっかけに、ベニオフは社会を変える「トレイルブレイザー」としての立場を確立していくのだが、WELY CEOの松岡も、経営者には「勇気ある決断をする能力」が求められていると感じたようだ。

Forbes JAPANの「30 UNDER 30 JAPAN 2020」ヘルスケア・サイエンス部門の受賞者に選出された松岡。彼女が代表を務めるWELYは「東南アジアから世界に健康を届ける」ことをビジョンに掲げ、食育や栄養改善事業に取り組んでいる。社会にインパクトを与える企業には、どんなことが必要だろうか。松岡はこう考える。

「たとえ批判されたとしても、社会の不条理や課題に恐れずに声を上げ、率先して行動する勇気を持つことが必要だと思います。年収や企業規模、ネームバリューではなく、社会課題に挑んでいる企業により信頼が集まっていく時代にシフトしていくと気付きました」

トレイルブレイザーになるための条件について聞くと、松岡は「飽くなき探究心と好奇心を持ち合わせ、変化を楽しめること」「何事にも愛をもつこと」「批判を恐れず、信念を貫く勇気をもつこと」の3点を挙げた。

一方、AIプロダクトやコンサルティング開発を手がけるシナモンCEOの平野はトレイルブレザーであるための3つの条件の1つに「勘違い力」をあげた。

「私が、大学院生時代に研究していたテーマがグーグルの創業者たちと同じという事もあり、科学が世界を一瞬で変えるところに強く惹かれ、『自分でもできるのでは』と勘違いをして起業しました」

この他に、平野は「周りを巻き込む力」と「未来をみる力」という条件も挙げた。

文=田中舞子 編集=督あかり

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