おそらくこの2つのモデルが、BMWのMモデルの中でハイブリッドパワートレインのない最後のモデルになるのではないだろうか。
カーボンファイバー(DVRP)のルーフパネルを採用しているのに、新しいMモデルはどちらも少しも軽くなっていない。標準仕様のM3の車両重量は1705kgで、M4は1700kgあり、コンペティション仕様はM3、M4ともにさらに25kg重くなる。
この重量差のほとんどは、M3とM4が標準仕様の6速MT搭載で公式に計量されているのに対して、コンペティション仕様は8速デュアルクラッチ・トランスミッション(DCT)を搭載していることから生じている。
以前のモデルよりも車長が長く、車幅の広い2021年発売のM3は、スピードリミッターの解除で最大約289kphまで出すことができる。(写真:WWW.DANIEL-KRAUS.COM)
これまでのM3とM4はM8クーペとは違い、BMWのモデルの中で最速を目指して作られたものではなく、本格的なスポーツセダンというよりも小型のグランツーリスモとしての評価を得ていた。
また、その権威をM2やM2コンペティションといったもっと小型のモデルに奪われかけていた。
だが、いまそれが変わろうとしている。
さらに大きく、さらに広く、さらに使いやすく
内装の写真を見ると、M5が先に搭載した統合型のマルチメディアスクリーンを装備し、タッチスクリーンも使えるが、さらに使いやすいようにBMWのiDriveナビゲーションシステムも残されているのがわかる。
新モデルのボディはさらに強化され、トレッド幅は前後ともに広がり、標準仕様の3シリーズのセダンよりもM3で75mm、M4では40mm広くなっている。
新型のM3、M4はどちらも全長4794mmになり、ホイールベースは2857mmで、現行のモデルよりも45mmほど長い。
BMWのM3の特徴的なクワッドエキゾーストパイプは2021年のモデルでも継続されるが、充電なしでどれくらい保つものなのだろう?(写真:DANIEL KRAUS)
5リンクのリアサスペンション、10段階のトラクション・コントロールシステム、アクティブ・ディファレンシャル、可変ダンピングに加え、車を安全に走らせるためのBMW独自の運転支援システムをすべて装備している。
キャビンスペースの床、フロントサブフレームの中、エンジンの上、リアサスペンション・サブフレームの車体への溶接法などが補強されたことで、シャーシの堅固さが大幅に改善された。
独自のリアエンドのデザインは、バンパーの下に大型のリアディフューザーを備え、トランクのふちに控えめなスポイラーを装備している。
4本のエキゾーストパイプは、従来通り、低い位置に間隔をあけて取り付けられている。