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どんな欲しいものでも自分で作り出せるような世界を想像してほしい。そんなことができるのはフィクションの世界だけだったが、これからは変わるかもしれない。

面積38平米の家、約24時間で完成


現代の「魔法の杖」である3Dプリンターは、想像を現実のものにしてくれる。3Dプリント技術はコーヒーカップのような小さな立体物の製造から始まったが、今では建築に使えるところまで成長を遂げた。有名なものとして、3Dプリント技術で建設されたスペインのマドリードの歩道橋などが挙げられる。

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3Dプリント会社のApis Cor(アピス・コー)が住宅建築会社のPIKとともに実証してみせたのは、可動式3Dプリンターで住宅の骨格部分を構築する能力だ。同社は試作品として、ロシアに面積38平方メートルの家を約24時間で建てた。広さは1~2人が入れる程度で、丸みを帯びた形状をしており、この技術に汎用性があることが見て取れる。

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今回の小型住宅では、既存の手法よりも建築費用が抑えられている。3Dプリンターは小型クレーンのような形をしていて、従来と同じ積層造形法を採用している。ノズルからセメントが何層にも練り出されて、骨格ができあがる。建設費は1万134ドル(約105万円、家財道具や外装は除く)。とはいえ、この3Dプリンターが作れるのは骨格部分のみであり、窓や屋根、断熱材などの部品は、後から人間が取り付けるのだ。

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「重量わずか2トン」のプリンター1台で、すべてを建設


3Dプリント技術で住宅が建設されるのは初めてのことではない。ただし、今回のプロジェクトが他と一線を画しているのは、初めて現場で1台の可動式プリンターのみを使ってすべてを建設したという点だ。

これまでにも、中国ではビルが、ドバイではオフィス全体が、さらには城さえも3Dプリント技術で建てられたことがあるが、いずれも現場で建設は行われていない。複数の巨大な3Dプリンターを使うか、工場でパーツごとに出力してから建設現場に輸送して組み立てるという形式だった。

Apis Corが今回使用した可動式プリンターの重量はわずか2トン(正確には1814kg)で、トラックで容易に建設現場まで運ぶことができる。クレーンの高さは最大3.1m、アームの長さは最大5mだ。販売にもレンタルにも対応している。

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多数の建設会社がこの技術に魅力を感じると思われるが、小規模な仕事を探す労働者は歓迎しないかもしれない。自分たちの仕事を奪うおそれのある技術だからだ。

稼働中のプリンターは、以下の動画で見ることができる。



(この記事は、英国のテクノロジー特化メディア「Wonderfulengineering.com」から転載したものです)

翻訳=加藤今日子 編集=石井節子

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